セレッソ大阪が、札幌の元日本代表DF田中駿汰(26)の獲得に成功したことが22日、分かった。慰留に努めてきた札幌を含め、G大阪や名古屋などと争奪戦を行い、田中側から21日にC大阪入りの返答を受けた。今後は細部を詰め、正式契約となる運びだ。

複数の関係者によると、C大阪が田中に提示した年俸は推定8000万円。札幌時代よりはアップしたものの、推定1億5000万円の好条件を出したクラブもあるといい、金銭面では圧倒的に不利だった。

ただ、大阪・岸和田市生まれで、G大阪ジュニアユース、履正社出身の田中に対し、C大阪は大体大卒業時にもオファーし、5年以上にわたって継続して評価。C大阪の本拠地ヨドコウ(大阪市東住吉区)へは、田中の実家からも近く、心身とも両者の距離は近かったという。

さらに札幌では基本的に3バックの右を務めてきた田中だが、学生時代から兼務してきたボランチの位置での出場を希望していた。

今年10月にも「中盤、もうちょっと真ん中、センターラインの位置の方が、自分的にはいいかなと思っていた」と話したことがあり、日本代表に返り咲き、さらに定着するにはDFではなく、もう1列前の位置に狙いをつけていた。

C大阪では今季終盤、34歳のMF香川にアンカーを任せたが、来季は本来のインサイドハーフに戻す構想があり、今回の移籍交渉では田中にアンカーか、ダブルボランチの位置を任せることを伝えた。その起用法も、田中にとっては魅力的だったようだ。

海外移籍を目指す田中に対し、C大阪は今回、その際の移籍のハードルを下げた契約にしたとみられる。それらの材料が重なり、C大阪が争奪戦を勝ち抜く要因となった。

空中戦が弱点のC大阪にとれば、183センチの田中の加入はセットプレーなど攻撃面でも心強い。今季9位に終わり、クラブ設立30周年の記念イヤーを迎える来季は、ルヴァン杯、天皇杯の2冠を獲得した17年以来のタイトル、そしてリーグ初優勝を目指す。