プレミア王者の青森山田は、飯塚(福岡)をPK戦の末に下し、3回戦に駒を進めた。0-1で迎えた後半34分、FW米谷壮史(3年)がヘディングシュートを決め同点。PK戦に持ち込み、5-3で勝ち切った。

エースストライカーが土壇場で試合を振り出しに戻した。それは、後半33分に足をつった直後だった。「つった中でも3年間やってきたことを出せば決められる」と米谷のスイッチが入り、同34分、MF後藤礼智(らいち、3年)からの右クロスに反応。「(後藤)礼智が1回切り返した。オフサイドラインがずっと高かったので、プルアウェイ(相手のマークを剥がす動き)して、ラインに合わせた。もう1回入り直して、頭で対角に流せたので良かったです」。冷静なポジショニングとストライカーとしての嗅覚。「自分はこの1年間、それで点を取ってきたので」。昨年1年間のシュート決定率は52・6%。2本に1本入るエースが選手権初戦でしっかり結果を残した。

PK戦ではDF山本虎主将(3年)が1本目を落ち着いて決め、相手2本目をGK鈴木将永(3年)がストップ。「練習で感覚を研ぎ澄ましてきたので、『いつも通りやれば絶対止められる』という自信はありました」と鈴木。つかんだ流れに乗り、チームは連続成功。最後は後半ロスタイムから交代出場のMF斉藤和祈(3年)がゴール右隅へ決めた。斉藤は「練習の時から5、6番目で蹴っていた。いつも通りやりました」。“いつも通り”で全員成功。正木昌宣監督は「非常に難しいゲームになりましたけど、1年間通してこういうゲームをものにしてきたという自信もあった」。青森山田の勝負強さが際立った。

次戦は広島国際学院が相手だ。国立での開幕戦で早実に2-0で勝利。2回戦では静岡学園をPK戦で下すなど勢いがあるが、指揮官は「自分たちのやるべきことを整理して、相手に対して粘り強く対応し、我々のストロングをもっと出せるように」と冷静。2大会ぶりの頂点に向け、次戦も“いつも通り”やるだけだ。【濱本神威】

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