2大会ぶりの頂点を狙う青森山田が、広島国際学院にエースストライカーのFW米谷壮史(3年)のハットトリックを含む7-0の完勝。米谷は3得点1アシストの活躍。PK戦までもつれ込んだ飯塚(福岡)戦とは一転しての圧勝劇で6大会連続8強入りを果たした。ノースアジア大明桜(秋田)は堀越(東京A)に0-1で敗れ、大会初勝利に続く2勝目はならず。GK川村晃生主将(3年)を中心に堅守を発揮したが、チャンスをゴールへつなげることができなかった。

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青森山田のエース米谷が大舞台で絶好調だ。前半12分、MF川原良介(3年)の左クロスを米谷が胸トラップで足元に落とし、左足を振り抜いて先制。「川原とずっと練習から話していたポイントがあった。うまく胸でトラップできたので、良いインパクトができた」。飯塚戦は0-1で迎えた後半34分に追いつき、PK戦で勝ち切る、苦しい内容だっただけに、早い時間帯での得点がチームに安心感をもたらした。

しかし、以降もチャンスはつくりながら追加点を奪えず。前半を1-0で折り返し、ハーフタイムに正木昌宣監督からげきが飛んだ。「1点取って油断して、守備がおろそかになってしまっていた。攻守の切り替えとクロスへの入り方について言われました」。後半、目の色を変えた米谷は果敢にチャンスメーク。「ゴールを取れるポイントに入ることを意識しました」。後半21分は左足、同24分には右足と胸で自分の前に来たボールを押し込んでハットトリックを達成。指揮官も「このチームのエースは彼ですし。彼が奮起してくれないと」と、さらなる奮起を促した。

4日の準々決勝は昌平(埼玉)と対戦。優勝がかかったプレミアEAST第21節で2-2と引き分け、優勝持ち越しとなった相手だ。米谷は「前回は自分が4本ぐらい外した。今度は『1本中の1本』を全部決めきる」と気合十分。今度は勝利を収め、2大会ぶりの優勝にまた1歩近づく。【濱本神威】

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ノースアジア大明桜の原美彦監督(51)は試合後「最後の1本が(勝敗を分ける)ターニングポイントになった」と、決定力不足を嘆いた。前半28分に先制点を許し、0-1。ハーフタイムには川村主将が「前半のうちにゴールに近づいている。味方を信じてさらにゴールに迫ろう」とイレブンを鼓舞。後半は何度もゴール前に迫ったが〃最後の1本〃が遠く、無得点。長いホイッスルとともに選手はピッチ上に倒れ込んだ。原監督は「得点を決めにいく姿勢は良かったが、肝心のゴール前で決めきれず、非常に悔しい」とうつむき、川村主将は「ゴール前の質を突き詰めることができなかった」と悔し涙を流した。

21年度は県大会敗退。昨年度は選手権初戦敗退と屈辱を味わってきたが、12月31日の名護(沖縄)戦で悲願の「選手権初勝利」を挙げ、新たな歴史を刻んだ。川村主将は「また、1歩前進して高みに近づいている。この敗退を忘れずに1人1人が自覚と責任を持って成長してほしい」と後輩に未来を託した。

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