プレミア王者の青森山田が、市船橋(千葉)をPK戦の末に下し、2大会ぶり4度目となる選手権制覇へ王手をかけた。前半11分、チーム最長身190センチのDF小泉佳紘(3年)が、左CKからドンピシャの先制ヘッド。後半34分に同点に追いつかれたが、さらに勢いを増す市船橋の攻撃を小泉ら最終ラインが決死の覚悟で守り抜き、PK戦に持ち込んだ。

 

「自分の高さは誰にも負けない」。両軍最高の高さを誇る小泉が、完璧なヘディングシュートで国立を沸かせた。決めた後は応援席に向かって右手で「Kポーズ」。「甲子園で慶応がやっていた。自分もこいずみ・かいとでKなので」。大歓声を浴び、「国立で点を決めるのはすごく気持ちいい」とヘディング弾をかみしめた。

空中戦には絶対の自信がある。今大会自身初のヘディング弾で3点目をマーク。「センターバックは頭で決めるのが醍醐味(だいごみ)ってイメージがある」。高さからの得点ももちろんだが、自陣でのディフェンスも強固。相手CKやロングスローに何度も空中で対応し、ピッチ上では今大会5得点と得点ランキング1位の相手FW郡司璃来(3年)に仕事をさせなかった。小泉は「前を向かせない、彼のスピードを出させないことを一番にやれた」と胸を張った。

青森山田に来たのは運命だった。小泉は小学校高学年の頃、地元・おいらせ町で行われた黒田剛前監督の講演会を見に行った。黒田前監督が番号を引き、当選した人が16年、選手権初優勝の記念Tシャツがもらえるという催しで見事当選。「今思えば縁だったんじゃないかな」。小6で参加した練習会で青森山田に入ることを夢見たが、セレクション、受験に落ちて青森山田中に入ることはかなわず。高校で再びチャレンジし、青森山田の門をたたいた。

その青森山田の一員として、目指し続けてきた国立で8日、決勝を戦う。「この舞台を目指して青森山田に入った。このエンブレムを背負ってできるのもあと1試合。思いっきり、山田でやってきたこの3年間のすべてをぶつけたい」。憧れたユニホームを、エンブレムを背負って、2大会ぶりの頂点に立つ。【濱本神威】

【高校サッカー】決勝はPK戦制した青森山田-琵琶湖の海賊・近江/準決勝スコア詳細