前監督の二重契約問題に揺れたV・ファーレン長崎が、開幕2連勝中だったJ1昇格候補の清水エスパルスに快勝し初勝利。8位に浮上した。公式戦2連勝とエンジンがかかりだした。

公式戦3戦連発と好調なFWエジガル・ジュニオ(32)は「昇格を争う相手にホームで勝てたことは大きい。1歩踏み出せた」と開幕2戦未勝利からの脱出を喜んだ。

ボール支配で、序盤から清水ペースだった。だが、今季始動からの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのようなパワーではじき返した。

前半25分、自陣から右サイドにつないで、絶妙な縦パスで裏に抜けたFW増山朝陽(27)が、相手GKの飛び出した無人のゴールへ先制。同30分、堅守カウンターからしぶとくつなぎ、FWエジガルが体勢を崩しながら、増山のパスをダイレクトボレーで決めた。

後半1点を返された。だが、同21分、右CKからエジガルが頭で合わせて突き放した。さらに、MFマルコス・ギリェルメ(28)もJ初ゴールを決めるなど難敵を圧倒。下平隆宏監督(52)は「清水は最終ラインが高いので、背後を狙うというのがあった」と話し、対策がはまった。

二重契約騒動に揺れて始まった今季。ファビオ・カリーレ前監督(50)がブラジル・サントスFCとも契約したことで、長崎は前代未聞の「指揮官不在」で始動した。

下平隆宏新ヘッドコーチが暫定指揮を執っていたが、2月15日、新監督に昇格。同時に、カリーレ監督やスタッフとの契約終了および、国際サッカー連盟(FIFA)へ、契約破棄に伴う違約金等の請求に関して、提訴が完了したことも報告された。試練を乗り越え、勝ち点3以上の大きな価値を得た。