ベガルタ仙台が今日16日、3連勝を懸け、アウェーで秋田との“東北ダービー″に臨む。昨季、新加入したフィールドプレーヤーで唯一、リーグ戦出場がなかった宮城県出身の2年目MF工藤蒼生(23)が、開幕から3戦全てに先発出場。前節10日水戸とのホーム開幕戦で、初めて憧れのユアテックスタジアム仙台のピッチに立った。工藤蒼が、ホーム初ピッチを振り返り、秋田戦に向けて、意気込みを語った。

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価値ある大きな1勝だった。前節10日水戸戦(1○0)はホーム開幕戦と同時に、「3・11」の前日。さまざまな思いを抱えた1万3000人を超えるサポーターが、イレブンを後押しした。試合前、森山佳郎監督(56)は「これで燃えなければ、サッカー選手じゃない」と鼓舞。後半31分、MF相良竜之介(21)の技ありシュートが試合を決めた。これで開幕から3戦負けなしの2連勝。チームの雰囲気は最高潮だ。工藤蒼は「チームや自分にとっても大きな1勝だった。震災を経験し、いろいろな思いを持った方に勝利を通して、勇気や希望を与えられたと思う」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

工藤蒼は宮城県出身。仙台アカデミーで成長を遂げたチーム生え抜きのプレーヤーだ。昨季は出場機会に恵まれなかったが、今季は開幕から先発出場。そして、ついに幼少期から憧れたユアスタのピッチに立った。「全然違いました…」と、スタンドからの景色との違いを実感し、喜びをかみしめた。「ファン、サポーターのみなさんの声援が熱く、背中を後押しされた」。それでも、自分のプレーには納得していない。「コンディションも良く、手応えを感じているが、まだまだやるべきことはたくさんある。練習から改善していきたい」と気を引き締めた。

秋田には仙台に12年間在籍したDF蜂須賀孝治(33)が、今季より在籍。尊敬する先輩との対戦に工藤蒼は「すごく楽しみ。(蜂須賀さんには)食事に誘っていただいたり、たくさん面倒を見ていただいた。でも、試合には絶対に勝ちます!」と勝利宣言。憧れの先輩に成長した姿を見せつけて3連勝をつかみ取る! 【木村有優】

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ベガルタ仙台は12日、川崎FからMF松井蓮之(れんじ、24)の期限付き移籍での加入を発表。松井は昨季、レンタル移籍していた町田のJ2優勝に貢献。「『川崎Fで勝負したい』という気持ちがあったので、このタイミングでの移籍はすごく悩み、悔しさがあった」と吐露。それでも、「試合に出続けることが一番の成長」と移籍を決意。世代別日本代表で関わりがあった森山佳郎監督(56)や川崎Fに在籍していた庄司春男GM(66)の存在も決め手となり、「J2優勝、J1昇格を目指してともに戦いたい」と力を込めた。

松井は本職のボランチに加え、サイドバックやセンターバックもこなす万能型。「守備の部分での運動量や球際、ヘディングが持ち味。自分の武器を最大限に発揮して、1試合でも早く試合に出場したい」と意気込んだ。森山監督は「高いレベルのレギュラー争いになるが、どこから(ポジション)でもいいので、チャンスと信頼をつかみとってほしい」と語り、「(町田で)J2優勝を経験しているので、J1昇格のために『何が必要か』をチームに還元してほしい」と期待を込めた。