浦和レッズFW興梠慎三(37)が、J1新記録の18年連続ゴールを達成した。湘南戦の前半11分に今季1号。鹿島時代の07年からから毎年得点を重ね、並んでいたMF小笠原満男(鹿島)の記録(99~15年)を超え、単独1位となった。昨季終了後、1度は引退を考えたが現役を続行。12年からJ1記録の9年連続2桁得点を成し遂げた37歳が、なお進化を掲げ、浦和のタイトル獲得のため最前線に張る。

嗅覚を生かした、興梠らしいワンタッチゴールだった。前半11分、浮き球パスに抜け出したMF前田が右からグラウンダーで出す。奥側に入り込んだ興梠が左足で押し込んだ。前節までチームの得点はPKとセットプレーだけ。興梠は「流れの中で点が取れたことはすごく良かった」と新記録の18年連続弾よりも形を喜び「引き分けだったけど、4点を取れる力があると証明できた。悔しいけど、ちょっとスッキリしている部分もある」。志向通りの連動性ある攻撃に納得した。

鹿島の先輩で、今も敬愛する小笠原を抜いた。「記録では超えたかもしれないけど、皆さんの記憶としては超えることができない。全てで追いつけない。勝てるのはスピードぐらい」と笑わせつつ「ちょっとでも近づけたならすごくうれしい」と本心も打ち明けた。

昨季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇。実は、そのまま引退を考えていた。しかし、監督と選手が大幅に入れ替わったチームの転換期に、クラブから慰留されて現役続行を決断。37歳。選手として残り時間が長くないことは分かっている。「悔いがないように」。昨季に続き、ずっと取り組んでこなかったシーズンオフの体づくりに励み、開幕を迎える。昨年と同様、第3節から頼られて先発起用され、昨季より2試合早く得点。前人未到の18年連続に伸ばした。

宮崎・鵬翔高時代はドリブラーだった。鹿島に加入してポストプレーの引き出しも増やし、定位置をつかんだ。鹿島最終の12年からJ1記録の9年連続2桁ゴール。浦和に移っても得点を量産し、歴代2位のJ1通算168得点を決めた。

「年を重ねるごとにプレースタイルを変えているけど『今、ここでキープできたのにな』と、できなくなっている部分も感じる。考えながらプレーしないと。また違うやり方があるのかなと」。30代後半にして探求心が芽生えている。「チームにいるだけでは意味がない。一番はピッチに立つこと」。大記録も通過し、これからも最前線で引っ張る覚悟だ。【岩田千代巳】

【動画】浦和が早い時間帯に先制!興梠慎三がJ1新記録となる18年連続ゴールを決める

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