Jリーグで活躍するブラジル選手の中東への流出が止まらない。7月に名古屋のダビ、8月下旬にはG大阪のレアンドロがともにカタールのクラブへ移籍した。G大阪は2007年にマグノアウベス、昨季もバレーを引き抜かれており、豊富な資金力を持つ中東クラブの攻勢が続く。

 Jリーグの各クラブは通常、戦力ダウンを避けるため、シーズン途中での移籍には違約金が発生する契約を結ぶ。G大阪もレアンドロとは同様の契約を結んだが、カタールのアルサードは「違う次元のオファー」(西野監督)を提示。いとも簡単に多額の違約金を払い、移籍をまとめた。

 05年に浦和のエメルソンがカタールに渡って以降、Jリーグから中東への流れができた。両者を取り持つ“仲介者”の存在もうわさされており、あるJリーグ幹部は「実態は分からないが、ルートができてこうなっているんだろう」と話す。ただ外国人選手が好条件のクラブを選ぶのは当たり前のこと。名古屋の久米ゼネラルマネジャーも「ルール上、移籍は防げない」とお手上げ状態だ。

 Jリーグの中野専務理事は「この世界で選手とお金が動くのは当然。(違約金は)収益構造になるし、入ったお金をどう使うかが大事になる」と話す。G大阪は過去の教訓を生かし、レアンドロを放出後、すぐに新潟からペドロジュニオールを獲得した。各クラブは主力の移籍に慌てず、手にした大金の活用法を具体化しておいた方が良さそうだ。(共同)