大宮アルディージャのDF塚本泰史選手(24)は27日、さいたま市内で記者会見し、右大腿(だいたい)骨に悪性の腫瘍(しゅよう)が見つかったことを公表した。塚本選手は「医者からサッカーはもうできないと言われた時、頭が真っ白で夢じゃないかと思った」と涙声で話した。

 病名は「右大腿(だいたい)骨骨肉腫」で、3月中に手術する。手術では腫瘍(しゅよう)のある骨を切断して人工骨を入れるため、現役続行は困難という。だが、会見に同席した同クラブの渡辺誠吾社長は「今季の契約はしており、チームの一員として戦う」と話し、選手登録からは外さないことを明言した。

 塚本選手によると、昨夏から右ひざ付近に痛みがあり、ことし1月の精密検査で腫瘍(しゅよう)が発見された。同選手は「つらい闘病生活やリハビリが待っていると思うが、同じがんで闘う人たちに勇気を与えたい。逆にチームメートの頑張っている姿で、僕に勇気を与えてほしい」と気丈に話した。

 この日、練習試合を行った大宮の張外龍監督は「塚本が勇気ある決断をしたのだから、われわれも勇気を与えないといけない」と話し、藤本主税主将も「いまできることはピッチでいいプレーをして彼を元気づけること」と神妙な表情を浮かべた。

 塚本選手は埼玉県出身。浦和東高(埼玉)から駒大に進学し、関東大学リーグではサイドバックでベストイレブンに輝いた。大宮には2008年から加入、昨季は21試合に出場して2得点。