【グアム7日=奈島宏樹】神戸の新主将に就任した元日本代表DF宮本恒靖(32)が、怒りでチームを引き締めた。移籍後2戦目となるJ2札幌との練習試合に先発出場。しかし、J2相手に2-2の引き分けに怒り心頭。攻め込まれる場面も目立ち、チームメートを何度も怒鳴りあげた。32歳の誕生日に「鬼主将」と変ぼうしたツネ様。試合後も守備陣を中心に緊急ミーティングを開き、チーム全体をビリッと引き締めた。

 快晴のグアムに、ツネ様のカミナリがドカンと落ちた。前半8分に先制点を献上した直後。DF松岡が右サイドから簡単にスロイーングを入れようとした瞬間だった。「みんな、そろっていないじゃないか。簡単に投げるな!」。端正な顔をゆがめながら、怒りの声を放った。

 J2札幌相手に簡単に攻め込まれてしまった。攻守に単調だったこともあり、流れを変えたい一心だった。初実戦だった5日の大宮戦では冷静にプレーしたが、この日は何度も味方を怒鳴りあげた。試合後には守備陣を呼び集め、問題点を話し合った。「内容はサイドバックの位置取りが中心。特に前半15分まで、チームがバラバラだった。みんなの意見も聞きたかったし、自分の意見も言いたかった」と宮本は説明した。

 この日、最も宮本に怒られたDF松岡は「ツネさんが、怒ると引き締まる。的確な指示なので助かる」と素直に受け入れた。カイオ・ジュニオール監督は「宮本は好きにやっても構わない。彼には特権を与えているんだ。何の心配もしていないよ」と笑う。合宿出発前は個人の体作りを優先させる考えだった宮本だが、もう十分動ける手応えはつかんだ。あとは本格的に主将としての仕事に取りかかるのみだ。