8月からフットサルの国内トップリーグ、Fリーグに参戦するエスポラーダ北海道が21日、09年シーズンの新体制会見を札幌市内で開き、道内ホームゲーム全12試合の入場料を道民に限り無料にする計画を発表した。今季3年目を迎えるFリーグは、有料試合が一般的で、このような大規模な無料化は初めてとなる。リーグ、チームともに道内では知名度が低いことから、道民に広く認知されるため、大胆なアピール作戦に踏み切った。

 チームの新体制を発表する記者会見で吉原清人取締役が仰天プランを口にした。「道内開催の全試合、道民の皆さんを、無料招待したい」。記念すべきFリーグ初参戦の09年シーズン、道内では9月6日のバサジィ大分戦(釧路市)を皮切りに12試合開催されるが、その全試合で、オフィシャルファンクラブ会員専用席を除く全シートを、道内在住者に限り、入場料無料にする。

 チームのホームアリーナは北海道立総合体育センター。収容人員は5000席で、オフィシャルファンクラブ会員数を1000人(昨年約600人)としても、4000人が無料観戦可能だ。Fリーグ事務局では「チームが運営するフットサルスクールの生徒を招待したり、開催する自治体の少年団を招待した例はあるが、数千人規模の招待は例がない」という。しかも、シーズンを通して実施するのは異例のことという。

 昨年のFリーグ平均観客数は2012人。チケット料金はホームゲーム主催チームが設定し、試合によって違うが、Fリーグ事務局の調べでは平均大人2000円、中高校生700円。フットサルの楽しさを多くの人に伝えたいということからの計画だが、1試合約300万円の入場料収入をあてにしないこととなる。道内開催の12試合で約3000万円を将来のファン獲得の先行投資とする。

 入場料収入はチーム運営費の大きな柱だが、スポンサーの援助などもあって無料化が実現する。Fリーグ側では、有料試合が原則としながらも、チームから口頭で打診されており「地域との連携を深めるというリーグの精神に合致する。自治体を窓口にしたりするといいのでは」と、フットサル普及の弾みになる計画に前向きだ。今季移籍した水上玄太(25)は「毎試合1点取りたい。フットサルの面白さを観戦して味わってほしい」と呼び掛けた。【中尾猛】