<天皇杯:G大阪2-1仙台>◇準決勝◇29日◇国立

 今季無冠のG大阪が2連覇へ王手をかけた。今季J2覇者の仙台にJ1強豪の底力を見せつけて貫禄(かんろく)勝ちした。FWルーカス(30)が前半3分にオーバーヘッドで先制弾、同点の後半20分にも決勝弾を決めた。

 これが王者の貫録だ。前半3分。安田理が右サイドを崩し、ゴール前へクロスを上げる。1度はGKがパンチングで防いだボールを、ルーカスが見逃さなかった。浮き球をオーバーヘッドで合わせ、先制ゴールを奪った。快進撃を続ける仙台を早い時間で攻略。その後、1度は同点に追いつかれながらも、後半20分には再びルーカスが決勝弾。終盤は巧みなパス回しで、仙台の選手の足を止め、手堅く逃げ切った。

 ルーカス

 (先制弾は)きれいだったでしょう?

 自分でもうれしく思います。ボクの得点じゃなく、チームの力でここまで来れた。難しい試合だったけど、早く点が取れたから、うまくいったのかな。

 U-23(23歳以下)ブラジル代表として、ロナウジーニョ(ACミラン)らとともに00年シドニー五輪に出場した男は、日本人以上に日本人らしい。来日6年目。好物はギョーザと焼きそばで、もちろん日本語もペラペラ。仙台戦前には決意の丸刈りにして「若く見える?

 20歳に見えるって?

 うそだ~」とおどけた。母国ブラジルでも仙台戦が生放映されており、試合後には早朝4時から寝ぼけ眼で観戦した愛妻に「2点も取ったよ!」と電話をかけた。

 G大阪は今季、J1屈指の戦力を擁しながらACL、リーグ戦と優勝を逃している。残された最後のタイトルへの思いは強い。名古屋には今季リーグ戦で2戦2敗。西野監督は「ファイナルで名古屋とやりたかった。リーグでは90分近くゲームを支配しながら、ひっくり返されているからね。借りを返したいと強く思う」と雪辱を誓った。

 前身松下電器時代も含め初の連覇へ、あと1勝-。大黒柱のMF遠藤は「これで気持ち的にはだいぶ楽になった。次も勝って、いいシーズンで終わって、いい年の初めにしたい」。2010年。W杯イヤーの幕開けとなる元日に、G大阪が頂上まで登りつめる。【益子浩一】