<J1:清水2-0川崎F>◇第21節◇29日◇アウスタ

 夏休み最後のJリーグでアウスタに華やかな花火が上がった。清水が川崎Fを下し、4戦ぶりの白星を飾った。前半16分、FW藤本淳吾(26)がPKを決め、後半2分にはFW岡崎慎司(24)の追加点で引き離した。華麗なパスワークで中盤を支配すれば、守備陣も集中力を最後まで維持して、3月の神戸戦以来18戦ぶりの完封勝利で応えた。

 完全復活を遂げる完ぺきは勝利だった。アウスタに久々の歓喜が訪れ、恒例の「勝ちロコダンス」も戻ってきた。長谷川監督は試合後の会見で開口一番「本当に良かったです」と、ほおを緩めた。そして「選手たちが気持ちのこもった戦いを90分間続けてくれた。非常に満足しています」と、連敗を脱出した選手たちをねぎらった。

 理想的なゲームを披露した。前半16分、3年ぶりに日本代表に復帰したMF藤本がPKを確実に決めて幸先よく先制。後半2分にはエース岡崎も追加点で続いた。2点を先行しても、持ち前の攻撃サッカーは続いた。2戦ぶりにそろって先発した小野、兵働、本田が華麗な長短交えたパスワークでゲームを支配。岡崎が「前半からやってて楽しかった」と話すように、流れるようにボールが動くスピーディーな「速攻」と、確実にボールをキープして前線へと運ぶ「遅攻」で、相手を翻ろうした。

 攻撃でリズムを生んだのは守備陣の頑張りだった。開始早々にMF小野のパスミスでピンチを迎えたが、GK西部を中心に、出場停止から復帰した岩下、平岡のセンターバックコンビが体を張ってゴール死守。18戦ぶりの完封勝利にGK西部は「めちゃくちゃ、気持ちいいですね。決めるところで決めて、守るところで守る。いいときのイメージが戻ってきた」と、久しぶりに笑った。

 攻守の歯車が、がっちりかみ合い、再び首位争いに参戦する。順位は前節の4位から1つ上げ、3位に上昇。長谷川監督は「これからが大事。あと13試合、みんなで力を合わせてチャンピオンになれるように頑張ります」。記録的な猛暑に見舞われた夏が終わりを告げようとしているアウスタで、エスパルスが「勝負の秋」へ再スタートを切った。【為田聡史】