来年7月にロンドン五輪を控え、「プラチナ世代」と呼ばれる若手が注目されている。中でも期待が高いのが、J史上最年少で背番号10を担う横浜FW小野裕二(18)だ。すでに五輪を目指すU-22(22歳以下)日本代表にも招集された高速ドリブラーが、Jリーグ、さらにロンドン五輪出場に向けた強い決意を語った。

 開幕を3日後に控えた2日、小野は高校の卒業式を終えた足で、横浜市内のクラブハウスに直行した。雨が降りしきる中、約2時間の個人練習。「仕事ですから」と話す表情はきりりと引き締まっていた。学業を修め、いよいよプロサッカー生活が本格化する。

 横浜の下部組織で育ち、昨年7月の広島戦でクラブ最年少出場(17歳208日)を果たした。木村監督が「日本の宝」とほれ込む逸材は、その後の10月神戸戦でクラブ最年少ゴール(17歳299日)を達成。リーグ17戦3得点を挙げた。そして今季、トップに昇格。10番の打診は昨年末で、「迷いませんでした」と即決した。J史上最年少10番も、「重圧に感じたことはない」と頼もしい。

 木村和司、中村俊輔、山瀬功治と、横浜の10番は司令塔タイプが多いが、「アシストより得点がほしい。今年は新人王、背番号以上は点を取りたい」と話す。ゴールに向かう姿勢が命。恐れずにドリブルで敵陣に突っ込む。そしてゴールを奪う。そんな自分色の10番像を思い描く。高卒新人で2ケタ得点を挙げれば、94年城彰二以来の快挙だ。

 今年は日の丸を背負う戦いも待つ。6月にはロンドン五輪2次予選が始まる。2月の中東遠征に招集され、先月12日の同バーレーン戦で五輪代表デビューは果たした。「プラチナ世代といわれるけど、日本の中での話。世界でもそう思われたい」と国際舞台を望む。

 憧れの選手はイングランド代表FWルーニー。「点も取れて、アシストもできて、何でもできる」プレーは、横浜の若き10番の理想。年少記録を次々に塗り替えたルーニーはいま、マンチェスターUでも代表でも10番を背負う。国は違えど、目指す高みは同じ。「誰にも負けたくない。同世代にも、どんな選手にも」。強い決意を胸に、開幕を迎える。