打倒INAC神戸!

 共通の合言葉を胸に、なでしこリーグ日テレ、浦和、新潟、千葉の4チームが、17日から4日間、千葉県内で合同合宿を行うことが、12日までに分かった。昨季は、なでしこジャパン7人を擁するINACが圧倒的な強さでリーグ戦、全日本女子選手権の2冠を無敗で達成した。独走阻止へ、リーグ戦開幕1カ月前にライバルが異例の結束。練習試合などを集中開催して強化を図る初の試み。なでしこジャパン佐々木則夫監督(53)も視察を予定している。

 Jクラブ傘下の4チームが強力タッグを組んだ。昨季はMF沢、川澄、チ・ソヨンら日韓代表が主力を占めるINAC神戸にタイトルを独占されたが、今季はそうはいかない。王者はFW京川らU-20(20歳以下)日本代表の主力を補強し盤石の体制だが、開幕前に一矢報いるための“秘策”を生み出した。

 17日から4日間、千葉県内に集結し、練習試合などを集中開催し強化を図る。一昨年まではリーグ戦開幕前に福島・Jヴィレッジで開催されていた「マリーゼ

 フェスタ」に、なでしこリーグ、大学、高校の有力クラブが参加し、調整していた。東日本大震災による福島第1原発事故の影響で昨年から中止。実戦経験の場を求めた各クラブの意見が合致した。

 日テレは終盤の追い上げが届かず2位。浦和は後半44分まで1-0とリードも沢に同点弾を許した。新潟は全日本選手権決勝で敗退。千葉は史上最多1万7812人の観客の前で実力差を見せつけられた屈辱。INACに対する思いはそれぞれ強い。

 アルガルベ杯から帰国した日テレDF岩清水は「初めてだし楽しみ。去年はスタートダッシュに失敗し、悔しい思いをした。今年はINACばかり注目されるわけにはいかない」と、気合を入れた。

 利点は大きい。昨年のなでしこジャパンのW杯初優勝以降、なでしこリーグへのスポンサー企業の協力は増えたが、資金不足は解消されていない。週末ごとに遠征する経費を削減できる。さらに滞在型なら1日数試合が可能。浦和村松監督が「実戦で若手選手はアピールする場になる。(合宿で)メンバーがはっきりしてくると思う」と言った。若手の出番も増え、成長の一助となる。

 佐々木監督も「同時期に静岡・御殿場で『未来のなでしこプロジェクト』があるが、千葉にもぜひ見に行きたい。面白い企画だよね」と注目。なでしこリーグに群雄割拠の機運が見えてきた。