Jリーグは14日、東日本大震災の影響により3月中のリーグ戦、ナビスコ杯予選の全日程の中止を決定した。各クラブとも再開に備え、調整を続けていくが清水の原靖強化部長(43)は「被災地の復興のためにチャリティーマッチのようなプランを検討している」と明言。対戦相手には磐田を真っ先に挙げており、「静岡ダービー」で復興を願う可能性がでてきた。

 「サッカー王国・静岡」らしい、被災地支援プランが浮上した。原強化部長はJリーグの決定後に、アフシン・ゴトビ監督(47)と話し合い、チームの今後の日程、調整方法などについて確認。ゴトビ監督から「我々が被災地の方々に向けて何かできることはないのか、サッカーを通して何か力添えがしたい」と、強い要望を受けたことを明かした。そこで浮上したプランが磐田との「静岡ダービー・チャリティーマッチ」だった。

 原強化部長は「相手がどこになるかはこれからの話になる」と、前置きしながらも「磐田に連絡をしようと思っている」と話した。当初の日程では26日のナビスコ杯予選で今年最初のダービーが組まれていた。中止にはなったが、形を変え、被災地の復興を願う一戦になる可能性が高まった。磐田の尾畑正人強化部長(48)も「すぐにというのは難しいかもしれないけれど、スタジアムを使った練習試合で募金箱を置いてやってもいいんじゃないか。他にはJリーグでオールスターゲームをやってもいい」と、チャリティーには前向きだ。

 チームとしては開幕直後の突然の中断期間でゲーム感覚から遠ざかることも避けたいはず。原強化部長は「日本がこのような状況で、リーグ再開に向け、ただいい準備をしたいというわけにはいかない。まずはチャリティーという要素を優先したい」と、強調した。

 清水にとってのリーグ再開初戦となる4月3日はアウェー仙台戦。現状から考えれば仙台市のユアスタでの開催は絶望的で、会場を国立(東京)に変更して開催することも検討されている。仙台側と連絡をとっても、細部を話し合えるような状況ではないという。混乱の中、復興を願う人々の気持ちは1つだ。【為田聡史】