【ドーハ(カタール)24日】ドイツから大金星を挙げた日本は1次リーグE組の第2戦、27日のコスタリカ戦に勝つと、ドイツの結果次第で、決勝トーナメント進出が決まる。日本協会はW杯で一定の結果を残した場合、日本代表の森保一監督(54)に続投要請する方針だ。4度の優勝を誇るドイツとの初戦では先制点を奪われたが、森保監督は後半からシステム変更を決断し、2-1と逆転。名采配で日本を歴史的勝利に導いた。

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歴史的勝利に浸ることはない。W杯優勝国を撃破してから一夜明けた24日、森保監督は「ドイツ戦は過去のこと、次の勝利に向けて最善の準備をする」と27日のコスタリカ戦へ、気持ちを新たにした。

W杯挑戦史に残る歴史的な名勝負だった。世界の強敵相手に守備一辺倒の従来の戦術ではなく90分間、計画通りに試合を運び、狙い通りの勝ち点3をもぎ取った。森保監督は「歴史的瞬間。サプライズになると思っている」と感慨深げに言った。すべての演出は、大会前から「我慢強く」を合言葉にイレブンを鼓舞した指揮者・森保監督のプラン通りで、想定内の逆転劇だった。

森保監督 うまくいかなかった時の準備はしていた。0-1もあり得ると。落ち着いたことで後半のシステムチェンジであったり、戦い方が機能する状況を作った。

前半は普段通りの4-2-3-1で入ったが、徐々にドイツの圧迫に苦しみ、PKを与え、前半33分、主軸のギュンドアンに決められた。嫌な流れだったが、冷静さを失うことはなかった。後半から3バックに変更し、サイド攻撃を充実させた。後半12分にMF三笘、FW浅野、同26分にはボランチの田中に代えて堂安と次々と攻撃的な選手を投入。同30分に、その堂安が同点弾。同38分には同じく途中出場の浅野が逆転ゴールを決めた。まさに名采配だった。

日本協会はW杯で一定の結果を残した場合、続投要請する方針を固めている。次のコスタリカに勝って、ドイツがスペインと引き分け以下なら、最終戦のスペイン戦を待たずに決勝トーナメント進出が決まる。森保監督の契約は今大会まで。突破が決まった場合、大会後に日本協会から契約延長の要請が届く可能性が極めて高い。森保監督は自らの力で、契約延長オファーを引き寄せた形となった。

田嶋幸三会長は「想定の一番上の勝ち点が取れた」と最大級の評価をした。ある幹部は「今まで岡田、西野と、W杯を指揮した日本人監督はいるけれど、W杯を戦った経験を元に継続して指導した日本人監督はいない。森保がその最初の日本人監督になるのではないだろうか」と話した。

この日、レギュラー組は軽めのランニングなどでクールダウンし、控え組はボール回しなどで汗を流した。次のプランはすでに描いている。「過去のことはすべて成果も課題も次の試合に前向きに変換してきた。出た結果に一喜一憂しすぎない」。コスタリカ戦の勝利プランと1次リーグ突破プランの実行へ、ドイツ戦勝利に酔うことなく、歩を前に進めていく。【盧載鎭】