FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会に臨む日本代表は12月1日(日本時間2日)、1次リーグ突破を懸けた第3戦でスペインと対戦する。期待は森保ジャパン最多17ゴールを誇るMF南野拓実(27=モナコ)。セレッソ大阪に在籍した14年末まで、強化担当やコーチとして南野を指導したC大阪小菊昭雄監督(47)がエールを送る。

◇ ◇ ◇

小菊監督は教え子の晴れ舞台を、日本で見守り続けている。南野は14年ブラジル、18年ロシア大会の香川真司に続く、3大会連続でC大阪出身者として背番号10を付けた。

「森保ジャパンの中心として引っ張ってきた。いろんな世界を見てきて、W杯に懸ける思いは相当なものがある。重圧がかかってくると思うが、拓実らしく、勇敢に大暴れしてほしい。日本をベスト8以上につれていってほしい」

指揮官が初めて南野に出会ったのは、ジュニアユース時代。将来有望な選手だとは聞いていた。ユース時代を通じ、その才能に驚いたという。

「怖い選手が出てきたと思ったのは、彼が初めて。常にゴールを取るという強い気持ちがある。守備もスキあらば相手ボールを奪い、プレスバックし、そこから自分がショートカウンターで飛びだしていく。守備からでも常にゴールを目指している選手でした」

忘れられない出来事はプロ2年目の14年。当時在籍した同僚の元ドイツ代表FWカカウが試合中、南野に「パスをよこせ」と怒り、19歳の南野が言い返したという度胸満点のエピソード。ウルグアイ代表の大スター、FWフォルランにも1歩も引かずに練習から主張していたという。

「礼儀正しい、すばらしい人間性を兼ね備えていた選手。ただ、グラウンドに出たら年は関係ない。球際に挑んでいき、先輩とバチバチやり合う。スーパースターに自己主張ができるのは、素晴らしい選手だと思った」

そんな南野に、小菊監督は強化担当時代に1度だけ注意したことがある。14年は人生で初、そして2度目の退場処分を4、7月の短期間で受けた。

「勝ちたい気持ちは大事にしてほしいけど、同時にセルフコントロールできる選手にならないと、これから損をする。子どもたちのあこがれの選手になってほしかった」

W杯初出場となった南野は今回、ここまで2試合とも途中出場を続ける。ドイツとの第1戦ではMF堂安律の同点ゴールを演出。コスタリカとの第2戦でも、ゴール前に飛び込むなど調子はいい。

ドイツ戦で決勝ゴールを決めた“浅野タクマの神”ことFW浅野拓磨のように、今度は南野が“南野タクミの神”へ。小菊監督はドーハの奇跡の続編を、教え子に託している。【横田和幸】

【W杯カタール2022 スコア詳細、最新ニュース、写真特集】はこちら>>>>