ドーハの歓喜再び! 日本(FIFAランキング24位)が強豪スペイン(同7位)を2-1で破り、E組1位で2大会連続の決勝トーナメント(16強)進出を決めた。後半にMF堂安律(フライブルク)、田中碧(デュッセルドルフ)が得点し、逆転勝ち。2勝1敗の勝ち点6とし、ドイツ―コスタリカ戦の結果に関係なく突破を決めた。

スペインが勝ち点4で2位、ドイツは4-2で勝利したが、敗退した。8強を目標とする日本は、1回戦(日本時間6日午前0時開始)ではF組2位のクロアチアと対戦する。

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勝てば決勝トーナメント進出、負ければ敗退となる一戦で、日本は3-4-2-1の布陣で臨んだ。メンバーは、GK権田修一(清水エスパルス)、3バックは左から谷口彰悟(川崎フロンターレ)吉田麻也(シャルケ)板倉滉(ボルシアMG)。ボランチに田中、守田英正(スポルティング)、左MFに長友佑都(FC東京)、右MFに久保建英(レアル・ソシエダード)。2列目の左に鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)、右に伊東純也(スタッド・ランス)を並べ、1トップに前田大然(セルティック)配置した。

対するスペインは不動の4-3-3で、3戦目にも主力選手を投入してきた。GKシモン(ビルバオ)、DFは左からバルデ(バルセロナ)パウ・トレス(ビジャレアル)ロドリ(マンチェスター・シティー)アスピリクエタ(チェルシー)。中盤の底にはブスケツ(バルセロナ)を右にガビ(バルセロナ)、左にペドリ(バルセロナ)。FWは左からオルモ(ライプチヒ)モラタ(アトレティコ・マドリード)ウィリアムズ(ビルバオ)。

スペインにボールを握られ押し込まれる状況の中、前半8分、敵陣ゴール前でボールを奪い、田中のパスを受けた伊東が右足シュート。惜しくもゴール右へ外れた。日本がチャンスをつくった。だが前半11分、波状攻撃を食らった日本は、右サイドからのクロスボールをモラタに頭で押し込まれた。早々に均衡を破られた。

その後も主導権を握られるが、日本はスペインのボール回しに前線からプレスをかけ、ほころびを突いてスペインゴールへ迫るが、パスのズレや判断の遅れから得点機を逃した。

守勢に回る中、日本にイエローカードが立て続けに出た。前半44分に谷口が、同45分に吉田が後方からのタックルで相手選手を倒した。苦しい試合展開を象徴するシーン。圧倒的なポゼッションサッカーに押し込まれるも、前半を0-1で切り抜けた。

前半のボール支配率は日本の18%に対し、スペインは82%。シュート数も2対6という劣勢だった。

後のない日本は、後半開始から久保に代えて堂安、長友に代えて三笘薫(ブライトン)という「ジョーカー」を投入し、勝負をかけた。

後半3分、その堂安がやった。相手陣内でボールをカットすると、右サイドでこぼれ球を受けた堂安がペナルティーエリア外から強烈な左足シュート。GKシモンのセーブも及ばず、手を弾き飛ばして力強くゴールネットに突き刺さった。1-1の同点となった。

同6分には波状攻撃から右サイド堂安のグラウンダーパスから左サイドの三笘がエンドライン際から折り返す。最後は田中が押し込んだ。ラインを割っていたかどうかの判断となったが、VAR判定の結果、ゴールは認められた。日本が一気に逆転に成功した。森保監督の采配が的中した。

スペインもFWにフェラン・トレス(バルセロナ)、アセンシオ(レアル・マドリード)を投入。試合は白熱してきた。後半17分には前線を走りまわった前田から浅野拓磨(ボーフム)にチェンジ。同23分には鎌田を下げてDF冨安健洋(アーセナル)を右サイドバックに入れ、三笘を1枚後ろに下げて5バックに。守備を固め、1点差を守り抜く戦い方に入った。

スペインはガビに代えて20歳FWファティ(バルセロナ)も入れてきた。攻撃の手を強めるスペインに対し、日本は引いた形で相手の波状攻撃を総力で耐えた。殊勲の田中に代えてMF遠藤航(シュツットガルト)も投入して固める。集中力を切らさず、ピンチの連続もGK権田の好セーブもあって守り抜き、そして勝利のホイッスルを聞いた。歓喜に会場はわき上がった。

日本がドイツ戦(2-1)に続き、再び欧州の強豪国を破り、W杯に新たな歴史を刻んだ。