東京オリンピック(五輪)日本代表DF中山雄太(24=オランダ1部ズウォレ)が、PK戦までもつれた死闘の末に日本が4強入りした7月31日・準々決勝ニュージーランド戦後にSNSに投稿した写真が話題となっている。

写真はニュージーランドの選手たちが去った後のロッカー室のもので、ホワイトボードに英語と日本語(日本人スタッフが訳したものと思われる)で「Thanks Kashima・Tokyo2020

We had a great time and heading home too soon.

Best of luck Japan(JFA)

NZ football

kia kaha」「ありがとう鹿島・東京2020 素晴らしい時間を過ごせました。日本代表の幸運を祈っています。頑張れ! ニュージーランドフットボール」と書かれていた。「kia kaha」とはマオリ語で「頑張れ」とか「強くあれ」の意味だという。

中山の投稿後、ニュージーランドの「グッドルーザー(潔い敗者)」ぶりは瞬く間に日本のサッカーファンの間でも広まり、そのスポーツマンシップをたたえる声が多く上がった。国際サッカー連盟(FIFA)のランキングでは日本が28位でニュージーランドは122位。試合ではそんな差を感じさせないほどニュージーランドは力強く、またピッチ外での振る舞いにも品格が感じられ、筆者も彼らのファンになってしまった。

そんな中、少々残念に思うのが試合後の記者会見。日本-ニュージーランド戦だけではないのだが、五輪サッカー競技では試合後に外国人が外国語で答えたインタビューが日本語に通訳されないのだ。

通訳がいないのなら理解できる。でも通訳はいるのだ。そして「通訳がいるので、日本人記者の方は日本語で質問していただいて構いません」と言われる。それなのに日本人記者が日本語で質問し、相手が外国語で答えた言葉は日本語には通訳されない(相手が英語以外の言葉で答えた場合は、英語には通訳される)。

その結果、日本のメディアには彼らのコメントはほぼ掲載されないことになる。ニュージーランド戦後、インターネットでチェックしたのだが、会見に出席したヘイ監督とMFベルのコメントを掲載したのは日刊スポーツを含めてわずか1~2社程度。日本で行われている試合なのに、ニュージーランドの現地紙のコメントを引用して報じている日本のメディアもあった。

オリンピックという国際大会で英語がいわば“公用語”になっているのは分かる。だが日本で行われている大会なのだから、日本と対戦するチームのインタビューくらい、外国語→日本語の通訳をしてはどうだろうか。彼らの言葉をきちんと正確に日本のメディアが報じることも、外国人選手に対する我々からのリスペクトになると思うのだが。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)

準々決勝の日本戦でPK戦に肩を組んで臨むニュージーランドイレブン(7月31日撮影=AP)
準々決勝の日本戦でPK戦に肩を組んで臨むニュージーランドイレブン(7月31日撮影=AP)