先週の当コラムでは女子サッカーの試合でバルセロナの本拠地カンプノウに9万人以上のファンが集まった話を書いた。今週も女子サッカーについての話題だが、少しネガティブな話だ。

今月12日に行われた23年女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会欧州予選で、北アイルランドが0-5とイングランドに大敗した。

北アイルランドは0-1で前半を折り返すと、後半7分から同34分の間に立て続けに4失点。一気に試合を決められてしまった。

北アイルランドのケニー・シールズ監督(65)はウィンザー・パーク(ベルファスト)に集まった1万5348人のファンの前で予選敗退が決まったことがよほど悔しかったのか試合後、いかに女子の試合で連続で失点することが多いか数値を使って説明。

その上で「女性は男性よりも感情的だ。そのため失点をうまく受け入れられない」と発言し、連続失点は女性ならではの精神的な不安定さがもたらしたものだと持論を展開した。

しかし、この「女性は感情的」という発言が当然のごとく大バッシングを引き起こした。同監督は翌日、謝罪。

「昨夜の記者会見でのコメントについて謝罪したい。私の発言によって気を悪くさせてしまい、本当に申し訳なかった」

「昨夜は北アイルランドの女子サッカーにとって特別な機会だった。そして国中の多くの少女、少年の模範となっている選手たちを率いていることを誇りに思う」

「私は女子サッカーの支持者であり、女性や少女たちが活躍できる場を増やすために情熱を注いでいる」などと話した。

しかし、シールズ監督の発言のように、本当に女性は男性よりも感情的なのだろうか。そもそもそのような発言をしたシールズ監督自身が一番感情的になっていたと思うのは筆者だけだろうか。

最近、マンチェスター・ユナイテッドのクリスティアノ・ロナウドが、0-1で敗れたエバートン戦後、観戦に来ていた少年の手からスマホをたたき落とした出来事があった。あれもロナウドが感情的になった末の蛮行だろう。

元イングランド代表FWのイアン・ライト氏は自身のツイッターに「男子選手がどれだけピッチ内で泣いているか。見たことがないのか?」と記してシールズ監督の発言を批判した。

アトレチコ・マドリードのサポーターの中には「選手たちが感情をむき出しにして戦っているのが良い」と話すファンもいる。良い意味でも悪い意味でも、感情的な男性だって相当数いるのだ。

だからこそ大事なのは「男性だから」「女性だから」とひとまとめにして、イメージで話すことのないようにすることだろう。感情的だったり、冷静だったりするのは人それぞれの資質であり、性別などで判断できることではないからだ。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)