フランス1部パリ・サンジェルマンが21日、アウェーでリールと対戦。7-1と、文字どおりたたきのめした。

リールには20-21年シーズンに連覇を3で止められた悔しい思い出がある。今季もパリSGにとって侮れない相手とみられていた。しかしふたを開けてみれば両者の差は歴然としていた。

キックオフ直後、センターサークル内でネイマールからパスを受けたメッシが相手DF裏に走り込んだエムバペへ浮き球のスルーパス。同FWが飛び出してきたGKの頭の上を抜くシュートを決めて、フランス1部史上最速の8秒で先制点をマークした。

パリSGはその後も猛攻を続け、エムバペは今季初のハットトリックをマーク。うれしそうに記念のボールを抱えてスタジアムをあとにした。メッシも1ゴール1アシスト、開幕から絶好調のネイマールは2ゴール3アシストとこの日も圧倒的な存在感を示してチームをけん引した。

この試合が始まるまで、パリSGには不穏な空気が漂っていた。5-2で勝利した13日のモンペリエ戦でエムバペがPKを外し、さらに2度目のPKをネイマールに奪われるなどしてイライラ。2度目のPKの時、ボールをよこせとばかりにエムバペがネイマールに詰め寄り、その際、そばにいたメッシに肩をぶつけるシーンも見られた。その直後、メッシは驚きと怒りが入り交じったような表情でエムバペを凝視した。

そのような出来事があったため、さまざまな方面からエムバペの“増長ぶり”を批判する声が集まった。チーム内でメッシ&ネイマール対エムバペという、いさかいの構図が生まれているという報道もなされた。

そんな中、パリSGは強豪リールを相手に大勝。「ビッグ3」は仲たがいしているといううわさを打ち消そうとするかのように、ゴールを決めるたびに大げさに抱き合った。

それにしてもここ数年、ファンを納得させる活躍ができず、批判を浴び続けてきたネイマールの好調ぶりには恐れ入る。これで開幕3試合で5ゴール6アシスト。シーズン直前にフランス杯王者ナントと戦い、4-0で勝利した「トロフェ・デ・シャンピオン」を含めると、ネイマールは今季公式戦4試合で7ゴール6アシスト。誰にも文句を言わせない成績を残している。

筆者はネイマールの好調ぶりを、今年11月20日開幕22年ワールドカップ(W杯)カタール大会への意欲の表れとみている。日本ツアーで川崎F、浦和、G大阪と戦った時はまだプレシーズンの練習が始まってからそれほど時間がたっていなかったため、調整中という感じが強く漂っていた。しかしフランス1部開幕後の動きのキレは、全盛期のネイマールが帰ってきたと思わせる、俊敏で力強いものだ。

ブラジル代表は欧州&南米以外で開催されたW杯で素晴らしい成績を残してきた。これまで70年メキシコ大会、86年メキシコ大会、94年米国大会、02年日韓大会、10年南ア大会が開催されたが、70年、94年、02年と3度優勝。見知らぬ土地でも意に介さないタフさを見せつけてきた。今年のカタール大会でも、ネイマールを中心としたブラジル代表が躍動するに違いない。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)