来月中旬に開幕する23-24年シーズンのスペインリーグに向け、各チームとも7月上旬より順々にプレシーズンを開始した。そんな中、補強面で今夏最も大きな動きを見せているのは近年のクラブ方針を貫いているレアル・マドリードだ。

Rマドリードは10年ほど前から将来性豊かな若手選手との契約を方針のひとつに掲げており、今や欠かせない存在にまで成長しているバルベルデ、ビニシウス、ロドリゴ、カマビンガなどを10代の時に獲得してきた。

スイスのサッカー関連調査機関CIESフットボール・オブザーバトリーが昨年10月に発表したデータによると、Rマドリードが13年7月以降に獲得した43人の平均年齢は22・87歳。これは2位ボルシアMG(23・36歳)、3位ドルトムント(23・57歳)を抑え、欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、フランス)で最年少となっており、クラブが若手選手の補強に尽力している証と言えよう。

今季のメンバー24人に投じた費用の総額は5億9750万ユーロ(約926億1250万円)だが、ドイツの移籍情報サイト「トランスファー・マーケット」による現在の市場価値は9億805万ユーロ(約1519億7750万円)と、約1・5倍に見積もられている。

中でも市場価値が最も飛躍した選手はバルベルデ。16年夏にBチームのカスティージャに加入した時の移籍金はわずか500万ユーロ(約7億7500万)だったが、20倍の1億ユーロ(約155億円)にまで達している。

他の選手たちもその価値を大きく高めている。例えばビニシウスは移籍金4500万ユーロ(約69億7500万円)、ロドリゴは4000万ユーロ(約62億円)、カマビンガは3000万ユーロ(約46億5000万円)で入団したが、現在の市場価値はそれぞれ1億5000万ユーロ(約232億5000万円)、1億ユーロ(約155億円)、8500万ユーロ(約131億7500万円)と大幅アップしており、クラブの方針を正当化するものになっている。

これらの選手たちと経験豊富な選手たちの融合こそが、近年のRマドリードの成功につながってきた。実際、若手選手との契約を積極的に進めてきた13年夏から昨季までの10年間で、欧州チャンピオンズリーグ5回の優勝を含む22タイトルを獲得。唯一無冠に終わった20-21年シーズンを除き、毎シーズン何らかのトロフィーを手にしているのである。

そしてクラブは今夏も「クラブの将来を担う逸材と契約する」という近年の方針を貫き、獲得した4人のうち2人が10代だった。昨年のワールドカップで素晴らしいパフォーマンスを見せたイングランド代表MFベリンガムを、固定額1億300万ユーロ(約159億6500万円)+移籍金の30%を上限とする出来高という高額でドルトムントから手に入れた(※6月29日に20歳の誕生日を迎えたが契約時の年齢は19歳)。

バルセロナとの熾烈な獲得レースを制し“トルコのメッシ”の異名を持つ18歳の同国代表MFギュレルを2000万ユーロ(約31億円)+出来高1000万ユーロ(約15億5000万円)でフェネルバフチェから獲得。しかしクラブの若手選手の補強はこれに止まらない。すでにU-20ブラジル代表FWエンドリッキとも契約済みである(※18歳になる来年7月に合流予定)。

Rマドリードは今季、エースのベンゼマが退団したことでセンターフォワードに大きな不安を抱えている。しかし、現有戦力にビニシウス、ロドリゴ、カマビンガ、ベリンガムなどがいることを考慮した場合、新時代への移行期が続き、アンチェロッティ監督が新システムをテストすることを明言しているため、今季も昨季同様に苦しむかもしれないが、クラブの未来は非常に明るいものと言えるだろう。

Rマドリードはこの後、プレシーズンのアメリカ遠征でミラン、マンチェスター・ユナイテッド、バルセロナ、ユベントスと対戦し、来月12日のビルバオ戦で新シーズンのスタートを切るが、新戦力を含めた若手選手たちが躍動し、更なる進化を遂げるかが覇権奪還の大きな鍵となるだろう。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)