デンマークが2-1でチェコを破り、優勝した1992年大会以来の4強入りを決めた。

前半5分、ストリアーの右CKからフリーになったディレイニーがヘッド弾、ワンバウンドでゴール左へ先制ゴールを決めた。これでペースをつかみ、前半は優勢に試合を進めた。同42分には左のメーレが右足アウトでのクロスを上げ、ファーに走り込んだドルベアが右足でダイレクトにゴール左へたたき込んだ。GKは動けずじまいだった。

後半に入ると、反撃を狙うチェコの猛攻を受け、同4分には相手FWシックにゴールを許した。その後は互いにゴールを目指し、肉弾戦もある激しい戦い。デンマークは同14分に投入したポールセンらがシュートを放つが、相手GKの好守に阻まれる。守っては相手に好機を与えるものの、ペナルティーアリア内をがっちり守って勝ちきった。

先制弾のディレイニーは「ファンタスティックだ。思うようには試合は進まなかったが、地に足は着いていた。どう試合が進んだかは問題じゃない。もう終わったことだし、忘れた」と、勝利こそが目的だったと言いたげだった。

主将で守備の要ケアーは「精いっぱい動かねばならなかったが、いい試合にできた。相手に主導権を与えたこともあるかもしれないが、守っていて自信はあった」と振り返る。さらに「僕らの今大会の目標はウェンブリー(準決勝以上)に行くことだった」と明かした。しかし、激闘の直後とあって「準決勝に向けて大丈夫だ、と言ったらうそになる。回復することが必要だ」と本音も漏れた。

デンマークは初戦で大黒柱エリクセンが一時心肺停止となって搬送され、その後回復はしたものの離脱。2連敗と最悪のスタートから、第3戦でロシア戦を4-1で下して決勝トーナメント(T)進出を果たし、決勝T1回戦は4-0でウェールズに快勝した。「エリクセンのためにも」という結束力もあっての快進撃だ。

92年大会の優勝は、ユーゴスラビアが内戦のため出場権を失い、代替出場からの戴冠で「おとぎ話」といわれた。新たな“物語”はまだ続く。