プレミアリーグ トットナムの韓国代表FW孫興民(29)がアジア人で初めて得点王となった。

22日の今季最終戦・ノリッジ戦で2ゴールと活躍。今季得点数を23点に伸ばし、サラー(リバプール)と並んで得点王に輝いた。孫の活躍でチームは来季欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権のある4位でシーズンを終えた。

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孫興民の勢いは今季最終戦まで止まらなかった。3点をリードしたノリッジ戦の後半25分。ケーンの縦パスをルーカス・モウラがはたき、中央の孫が右足で流し込んだ。5分後にはゴール左45度、ペナルティーエリアすぐ外からカーブをかけたスーパーミドルをゴール右に突き刺した。

これで今季23ゴール。前節終了時点で得点ランキングトップに立っていたサラーもウルバーハンプトン戦で1点を取ったため、孫の単独受賞はならなかった。だがアジア人として初めて得点王に輝いた。特筆すべきは23点のうちPKでの得点が1点もないこと。サラーは5点がPKによるものだ。この数字が孫の得点能力の高さを物語っていた。

自身1点目の直前にGKとの1対1を防がれていた孫は試合後「今日はイージーなチャンスでミスをしたけど、最も難しい場面の1つで決めることができた」と笑顔でジョーク。そして「とてもうれしいし、チームに感謝している。シーズン中ずっと助けてくれたし、特に今日は3-0になってからみんな『おいソニー、お前が決めろよ。お前にはその権利があるんだから』っていう感じで、本当に感謝している」と話した。

プレミアリーグが92年に設立されて以来、孫はトットナムにとって3人目の得点王。92-93年シーズンにテディ・シェリンガムが、そして昨季も含めて3度ケーンが得点ランクトップとなった。それ以前のイングランド1部でもジミー・グリーブスやゲーリー・リネカーらそうそうたる選手たちが受賞しており、孫も華やかな系譜に名を連ねることになった。

チームも来季欧州CL出場権を獲得した。それでも孫は「うれしいけど、そこまでというわけじゃない。なぜならCLは僕らがいるべきところだから」と話し、準優勝した18-19年シーズンのような旋風を巻き起こすことを誓っていた。

◆孫興民(ソン・フンミン)1992年7月8日、韓国春川市生まれ。10年から韓国代表に選出され、18年に主将。08年にFCソウル・ユースからハンブルク・ユースに加入し、09年ハンブルク2軍、10年から同クラブのトップ契約。13年にレーバークーゼンに移籍し、15年からトットナムと契約。ブンデスリーガ通算135試合41得点。プレミア通算232試合93得点。韓国代表では98試合31得点。183センチ、77キロ。

◆日本選手は? 欧州4大リーグで日本選手のシーズン最多得点記録は13-14年のマインツFW岡崎慎司で15点。ブンデスリーガの得点ランクで7位タイだった。11-12年のブンデスリーガではドルトムントMF香川真司が10位タイの13点でリーグ優勝に貢献。プレミアリーグでの最多は香川と岡崎の6点だが、12-13年に6点の香川はマンチェスターUで優勝。岡崎はレスターで17-18年に6点、15-16年には36試合5得点でクラブ初のプレミアリーグ制覇の原動力になった。