[ 2014年2月14日8時49分

 紙面から ]5位に入り笑みを浮かべる岡田(撮影・井上学)<ソチ五輪:スノーボード>◇12日◇決勝◇女子ハーフパイプ

 女子だって負けてないぞ!

 岡田良菜(らな、23=バートン)が5位入賞を果たした。予選2組で7位に終わるも、準決勝を6位で突破すると、決勝2回目で85・50点と高得点をマーク。五輪5大会目となるスノーボード競技で、藤森由香の06年トリノ大会スノーボードクロス7位入賞を上回り、日本女子最高位を刻んだ。

 元気の良い関西なまりの言葉が、笑顔とともにはじけた。滋賀県大津市出身。雪とは縁遠い関西の女子スノーボーダーが記録を塗り替えた。目標のメダルには届かなかったが、それでもスノーボードで日本女子最高位と知ると、岡田は「じゃあ、めっちゃうれしいです」。ちゃめっ気たっぷりに声を弾ませた。

 前日に男子の10代2人がメダルを取った。その1人、銅メダルの平岡とは岐阜県郡上市の同じチームで練習して腕を上げた仲。「すごい勇気が出た」。2度目の五輪に、勢いがついた。

 予選から徐々に調子を上げて、準決勝は6位通過。12人による決勝2回目に2回転半を派手に決め、最後には2回転の連続技も成功させた。この時点で3位。最後の2人でメダル圏外に落ちたが「完走しきれへん方が全然悔いが残ると思うんで、今は気持ちいい」。予選で2回とも転倒し、滑りきれず29位だった前回バンクーバー大会とは違う。大舞台を心から楽しめた。

 バンクーバーから1年半後の11年夏。米国で練習中に右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し、2年近く実戦から遠ざかった。20歳のこれからという時期。手術で傷が入った膝を恨めしげに眺めた。嫌になる自分がいた。気を紛らわすために友人と遊び、ピアスの穴を開けた。髪も染めた。だが「毎日楽しいけど、楽しくないよーな」。当時、ブログにそうつづった。やはり、あきらめきれなかった。

 空白の時間を前向きに使い始めた。靴の中敷きを工夫し、歩き方を修正。右足の小指が使えない癖を直した。普段は右足前のグーフィー。それを反対にし、右足を鍛えた。完調まで時間はかかった。だが戻ったとき、今までの自分を超えていた。その体で、高いエアと高難度の技を成し得た。

 今後は強化指定を外れ、プロ大会を主戦場とする。「これからはのびのびと楽しく滑っていけたら」。集大成の五輪。最後まで晴れやかな笑顔だった。

 ◆岡田良菜(おかだ・らな)1991年(平3)1月5日、滋賀県大津市生まれ。小2でスノーボードを始め、HPの試合は中1の時に初出場。06年11月からW杯に参戦。滋賀短大付高在学中にHPのプロ活動を始める。今年1月のW杯カナダ・ストーンハム大会で初優勝。10年バンクーバー五輪は予選敗退(29位)。家族は両親と弟。163センチ、50キロ。