26日のアジア大会陸上男子100メートルで10秒00で銅メダルを獲得した山県亮太(26=セイコー)の走りを、日刊スポーツ評論家の伊東浩司氏(48)が分析した。

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「スタートからゴールまで理想の走り。体はぶれていないが、ストライドは大きく、回転もダイナミック。並ばれた時にも歯を食いしばって、力んでいる様子もなかった」

公式記録は昨年9月に出したものと同じ10秒00。ただ1000分の1まで計測タイムは昨年9月が10秒000に対し、今回は9秒997だった。ともに風は追っているが、1メートル以内だ。

「もう9秒台は出ない方がおかしい。メンタルの調整次第。もう風は関係なく走れる」

日本勢は32年ロサンゼルス・オリンピック(五輪)で6位に入った吉岡隆徳以来、世界大会の男子100メートル決勝から遠ざかる。12年ロンドン五輪、16年リオ五輪と準決勝へ進んだ山県も、19年世界選手権、20年東京五輪の決勝進出を目指す。

「国際大会の決勝を、かなり期待していい位置に上がっている」

銀メダルのT・オグノデ(カタール)も10秒00だった今大会について「アジアから何人が世界大会の決勝に残るのだろうと思うぐらいレベルが高かった」。その中でも今季アジアタイの9秒91を2度記録し、15年、17年と世界選手権決勝の舞台に立った蘇は別格だ。

「もう世界のファイナルではなく、メダルを狙える圏内にいる。蘇選手は自分が勝つことを疑っていなかったように思う」

では、その差はどう埋めていけばいいのか。

「自己記録が0・1秒遅いと、相手に勝負のプレッシャーを与えにくい。それを上げていくと同時に、海外のいろんな大会で顔を合わせて、メンタルでプレッシャーをかけていけるような活躍をできればいい」