女子3000メートル障害でリオデジャネイロ五輪金メダルのルース・ジェベト(19=バーレーン)が8分52秒78の世界新記録をマークして優勝した。男子3000メートルではユーミフ・ケジェルチャ(19=エチオピア)が7分28秒19のU20世界記録で優勝するなど、中・長距離種目に好タイムが多く誕生した。

 ジェベトはペースメーカーが外れた1000メートル過ぎでトップに立つと、2000メートルまでにリオ五輪銀メダルのハイビン・ジェプケモイ(24=ケニア)を引き離して独走態勢に入った。

 2000メートル通過は5分54秒16。その時点で世界記録更新は決定的だったが、最後の1000メートルも3分を切るスピードでカバーした。2008年北京五輪でグルナラ・サミトワガルキナ(ロシア)が出した8分58秒81の世界記録を8年ぶりに6秒以上更新した。

 「本当にうれしいです。今年は何度も世界記録に挑戦しながら破ることができなかったので、ここまで大幅に更新できて驚いています。ペースメーカーの選手も、オリンピックを走っているかのようないい働きをしてくれました」

 ジェベトは5月のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会で8分59秒97、リオ五輪でも8分59秒75と、世界記録に迫るタイムで2度走っていた。

 女子200メートルは、五輪100メートルとの2冠のエレイン・トンプソン(24=ジャマイカ)と、銀メダルのダフネ・シュキッパーズ(24=オランダ)の対決が注目されたが、トンプソンが欠場。シュキッパーズが長身を生かした走りで前半から先頭に立って22秒13で制した。

 「リオの後、疲れを感じてトレーニングも1回しかできませんでしたが、ここで勝てた意味は大きいですね。ダイヤモンドリーグのポイントをリードできましたから」

 ダイヤモンドリーグは残り2試合で、各種目で見た場合は残り1試合。ツアーチャンピオン争いも佳境に入っている。

 ◆今季の女子3000メートル障害

 ジェベトが5月のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会で8分59秒97、リオ五輪でも8分59秒75と2度世界記録に迫り、そしてパリ大会で8分52秒78の世界新記録をマークした。

 9分を2回以上切ったのはジェベトが史上初で、まさに“ジェベト”時代のまっただ中にある種目である。

 ただ、昨年の北京世界陸上金メダリストのジェプケモイも、ユージーンでは9分00秒01とジェベトに0・04秒差まで迫り、リオ五輪でも銀メダルを獲得した。パリ大会でも2位で9分01秒96。史上3人目の8分台は時間の問題で、ジェベトの背中もしっかりと見えている。