日本陸上競技連盟は19日、都内で理事会を開き、伊東浩司強化委員長(47)の辞任を承認し、前委員長の麻場一徳氏(57)の復帰を決めた。伊東氏は6月から務める理事も辞任し、理事会を欠席。所属する甲南大(神戸市)の学務と強化委員長の両立が困難になったと伊東委員長から申し入れがあり、了承した。尾県専務理事は「大学の仕事もあるし(陸上の強化トップとして)JOCの仕事もあった。我々もサポートしてきたが、十分ではなかった」と支援体制の非を認めた。

 伊東委員長は、20年東京五輪を見据えて16年9月に就任。「公平」が重要視される陸上において、種目の有望度に応じて、強化費の配分を変えるなど斬新な手法を導入。今夏の世界選手権ロンドン大会では銀1、銅2と成果を上げた。五輪のたびに物議を醸すマラソン選考でも「透明性」を重視して“一発勝負”のグランドチャンピオンシップを導入。しかし神戸-東京を往復する日々は激務となって「このまま両方続けるとどちらにも迷惑がかかる」と辞任することを決めた。

 これで15年9月に原田氏、16年9月に麻場氏、今回の伊東氏と2年3カ月で強化トップが3度も代わる異常事態。尾県専務理事は「私としても力不足」と謝罪。この日、年間表彰式に出席した飯塚は「伊東さんにお世話になりましたので」と残念そうに話した。

 トップ交代は継続的な強化に支障が出る。尾県専務理事は、麻場新委員長の任期について「2020年までだと思います」と口にした。【益田一弘】