「世界の壁」は分厚かった。昨年9月に日本人初の9秒台を出した陸上男子の桐生祥秀(22=日本生命)が12日、中国・上海体育場で行われたダイヤモンドリーグ上海大会の男子100メートルに出場し、10秒26(向かい風0・5メートル)の最下位となる9位に終わった。

 雨中のレース。昨年フライングだったスタートは成功も、中盤から強豪に置き去りにされた。ただ先行されて力む悪癖はでなかったそうで「得られるものがあった。最後まで自分の走りができたのは良かった」と明るかった。

 結果を悲観しないのは、万全ではない自覚もあったから。2週間前には会話がラインに限定されるほど喉を痛める風邪を引き、練習を積めなかった。ピークも日本選手権(6月)とジャカルタ・アジア大会(8月)に合わせている。100メートルは今季初戦で「夏に向けて(調子を)上げていく面では、そんなには悪くない」と受け止めた。

 優勝は10秒04のプレスコッド(英国)、昨年の世界選手権王者ガトリン(米国)は10秒20の7位だった。