17年世界選手権(ロンドン)男子400メートルリレー銅メダリストの藤光謙司(32=ゼンリン)が追い風0・8メートルの条件下、23秒65と大きく遅れて8位となり、アジア大会(8月、ジャカルタ)出場が絶望的となった。20秒34で優勝した飯塚翔太(ミズノ)とは3秒以上の差がついた。

 直線に入るまでは順調だったが「勝負をかけようと思って力を入れたら、耐えられなかった」と左太ももが悲鳴を上げた。取材エリアには車いすで登場し「肉離れですかね」と冷静さを保ちながら説明した。

 思い切っての勝負だった。今季は体が万全とはいえない中で「もげるつもりだったら、もげた」と故障を覚悟でギアを上げた。そのため「有言実行ですね」と心配する周囲を気遣い、自虐的なコメントも発した。8位に終わったが、勝負し、故障に見舞われた自分に納得することができた。

 「そんなに急いでどうにかするシーズンじゃない。『(故障したことで)1回休め』っていうことだと思います。まずはしっかりと治して、リセットします。秋できっかけを作って、来年につなげていけたらと思っています」

 17年の世界選手権では400メートルリレー決勝で最終走者を務め、銅メダルを確定させた。歓喜の瞬間をまた味わうために、まずは冷静に自分と向き合う。