昨年11月に行われた全日本実業団対抗女子駅伝で優勝したユニバーサルエンターテインメントの選手がドーピング検査で禁止薬物に陽性反応を示していた問題で、日本アンチ・ドーピング機構は19日、その経緯を明らかにした。

 当該選手は大会の約2カ月前、婦人科系疾患の手術を受けた。その後、処置として、筋肉内注射を受けた。その中に禁止物質であるメテノロンなどが含まれていたという。

 注射は一般的な治療でも採用されるもの。ただ当該選手は医師に競技者とは知らせておらず、禁止物質が含まれているか否かの確認はしていなかったとしている。また当該選手は疾患について指導者にも明かしていなかったという。

 当該選手はすでに引退。同大会でユニバーサルエンターテインメントの優勝は取り消され、2位だったパナソニックが繰り上げとなった。

 日本陸連の横川浩会長は「日本陸上界の選手にアンチ・ドーピング規則違反の裁定が下されたことには、誠に残念でなりません。今回の裁定を厳粛に受け止め、日本陸上界がアンチ・ドーピングの徹底のために一体となって努力することの重要性をあらためて認識し、今後、このようなことが起こらないようにさらなる役割を担っていきたい」とコメントしている。