男子走り幅跳びで2メートル35の日本記録を持つ戸辺直人(27=JAL)は無念の予選敗退となった。

世界ランキング1位で、日本勢初の決勝進出、また初の表彰台も期待されていた。2メートル26は3回目にクリアしたが、2メートル29は失敗。上位12人による決勝進出はならなかった。

メダルの手応えはあった。無情な結果を突き付けられると、座ったまま動けなかった。「何も考えられないという感じ」。世界的に「低調」なレベルで、自らにもチャンスはあっただけに、悔しさも大きかった。

勝負と見ていた2メートル26で2度失敗。「ちょっとヤバイなと」。3回目で成功したが、2メートル29でも理想の動きはできなかった。成功しないと敗退が決まる中、3度目もバーを落とした。マットにあおむけで倒れ込むと、顔を覆った。踏み切り位置など「1度崩れてしまったのを立て直しきれなかった。悔しいの一言」。そう冷静に敗因を見つめた。

海外転戦を重ねるスタイルを戦い続けている。世界選手権も「気持ち的にプレッシャーを感じていることはなかった。あまり緊張はなく、試合はできた。調子もよかった。決勝にいけると思って試合をしていた」。それでも、いつもは施せる修正ができなかった。「分析力がいつもより鈍っていたのかな。練習、試合の中で磨くべき勘が薄れてしまっていたのかなというのが正直なところ」。15年北京大会の時と同じく、予選を通過できなかった。世界大会の空気は独特だった。

来年には東京オリンピック(五輪)がある。「オリンピックへ向けて、本番で自己ベスト、シーズンベストを出せる調整力を磨かないといけない」と語った。

また佐藤凌(25=東日印刷)も2メートル22、衛藤昂(28=味の素AGF)も2メートル17にとどまり、いずれも敗退だった。