20年東京オリンピック(五輪)50キロ競歩男子日本代表選考会を兼ねた全日本50キロ競歩高畠大会(27日、山形・高畠まほろば競歩コース)に出場する新潟アルビレックスランニングクラブ(RC)の小林快(26)が2日、新潟市内で公開練習を行った。

今大会で優勝すれば、東京五輪代表が内定する。17年世界選手権男子50キロ競歩銅メダルの実力者が、新潟RCに移籍して1年目で迎えた大勝負。万全のコンディションで五輪切符をつかむ。

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木々の間から日が差し込む中、小林は無表情のまま淡々と歩を進めた。新潟市の信濃川沿いの散歩コース「やすらぎ堤」。普段から汗を流す場所で約1時間、10キロを歩いた。前日1日はスピード重視のトレーニングを行った。「どれくらい疲労が残っているか確認した」。高畠大会まで3週間余り。「まず、ケガをしないこと」。体と向き合いながら仕上げに入っている。

五輪参加標準記録の3時間50分0秒は、4月の日本選手権で3時間43分46秒(5位)を出してクリアした。高畠大会で優勝すれば、東京五輪代表に内定する。競歩男子50キロの代表は3人。ドーハ世界選手権で鈴木雄介(31)が優勝し、内定第1号になった。残り2枠は今回の高畠大会と来年の日本選手権で決まる。

「クラブの方々や応援してくれる人たちのために、という気持ちはあるが、プレッシャーはない」。17年世界選手権の銅メダリスト。準備さえ万端であれば自信はある。5日には茨城国体の10キロ競歩に出場予定。4月にビックカメラから新潟RCに移籍して、初めて迎える新潟県代表としての国体だ。入賞を目指しながら、高畠大会に備えたチェックをする。その後は、国立スポーツ科学センター(東京)でコンディションの最終調整に入る。6月から8月まで北海道で合宿を行った。普段から多い日で60キロは歩いてきた。チャンスをつかむため、積み重ねを丁寧に行ってきた。

新潟RCに所属し、「競技に集中できる」と言う。フロントスタッフも含めて全員が陸上経験者。小林の考えを理解し、自分のペースでの練習を優先させてくれた。やすらぎ堤には市民ランナーも多い。「頑張ってください」と声をかけられると、自然と力が湧く。「まず五輪に出ること」。移籍直後、「東京五輪の表彰台の一番上で国旗掲揚、国歌斉唱をしたい。サポートしてくれる新潟のためにも」と誓った。その実現へ全力を傾ける。【斎藤慎一郎】

◆小林快(こばやし・かい)1993年(平5)2月28日生まれ、秋田県出身。秋田工1年から競歩を始める。早大1、2年時は、箱根駅伝メンバー入りを目指していたが、3年から競歩に復帰。4年のインカレ1万メートル競歩で2位。ビックカメラに入り、16年の全日本高畠大会50キロ競歩で優勝。17年世界選手権男子50キロ競歩銅メダル。18年は、世界チーム選手権日本代表。165センチ、53キロ。