新潟市開催の陸上日本選手権(10月1~3日、デンカビッグスワンスタジアム)で新潟アルビレックスランニングクラブ(RC)のメンバーが活躍を誓っている。新潟市出身で女子800メートルの広田有紀(25)は自己ベストで県記録の2分4秒33の更新と表彰台(3位以内)を狙う。今春、秋田大医学部を卒業し、医師国家試験に合格した異色ランナー。新型コロナウイルスとの闘いの最前線に立つ医療従事者へ感謝と励ましを込め、全力疾走する。

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広田は笑顔の奥に決意を忍ばせる。「新型コロナ禍の中、地元選手の頑張りで明るいニュースを届けたい」。秋田大2年の時もデンカビッグスワンでの日本選手権を経験している。今春から新潟RCに所属し、その初年度に故郷で2度目のビッグレース参戦。「ありがたいです」と喜ぶ。

今大会の結果が来年のアジア大会代表選考の参考になる。オリンピック(五輪)への1つのステップ。「目標は2分2、3秒台」と自身の持つ県記録の更新を掲げた。クリアすれば3位以内も見える。6月に右アキレス腱(けん)を痛め、超音波治療を施すなどベストな状態ではない。それでも8月のセイコーゴールデングランプリ(東京・国立競技場)で3位。2周目以降の粘りが持ち味だが、日本選手権に向けて1周目からスピードに乗る練習を積んできた。少しずつ成果が出ている。

今春、秋田大医学部を卒業。医師免許を取得した。来年に延びた東京五輪を目指し、卒業後2年間の研修医生活を封印した。同時に医療現場で新型コロナウイルスの終息に向けて働く医療従事者への思いが強くなった。

研修医になった大学の仲間とはオンラインで会話する。さりげない話の後、「頑張って」と励まされる。「勇気を届ける走りができれば」。仲間の頑張りに負けない走りを、飛躍のベースと位置付けた。【斎藤慎一郎】

◆新潟アルビレックスRC出場予定選手 【男子】▽800メートル 林貴裕(23)▽110メートル障害 栗城アンソニー(24)▽400メートル障害 須貝充(26)▽走り高跳び 長谷川直人(23)、佐藤凌(26)▽三段跳び 有松今日(28)▽棒高跳び 松沢ジアン成治(28)▽やり投げ 横堀雅孝(23)▽円盤投げ 高倉星也(24)▽砲丸投げ 佐藤征平(28)【女子】▽800メートル 広田有紀(25)▽円盤投げ 敷本愛(37)▽やり投げ 右代織江(30)

◆広田有紀(ひろた・ゆうき)1995年(平7)5月20日生まれ、新潟市出身。新潟高では女子800メートルで2年時に国体、3年で全国高校総体優勝。秋田大医学部に進み、16年日本選手権4位、昨年のインカレ2位。165センチ、50キロ。