関東勢を抑え、日本人トップに輝いたのは関学大の3年生だった。上田颯汰が28分52秒63の5位。上位4人は留学生で、日本人では一番最初にフィニッシュラインを駆け抜けた。

打倒関東勢の思いを強く秘め、練習を積んできた。「負けたくない思いは自分のが上だ」。ラストスパートは必死で足を動かし、6位だった創価大の嶋津雄大を約1秒差で振り切った。レース後は大きく両手を広げ、喜びに浸った。春は両足の肉離れなど苦しんでいた分、こみ上げる思いも大きかった。

大阪・関大一高時代の5000メートル自己記録は14分25秒93。「関東の強豪校としのぎを削りたかった」との思いも強かったが、出費の面など負担も大きく関西に残ることになった。三国中の時からつながりがあった宮本志郎氏がコーチを務める関学大に進んだ。そこで少しずつ強くなっていった。

「関東勢に勝つことが後輩への道しるべにもなる」。昨年は出ることもできなかったが、その決意を持ち続け、それを実現させた。今後は駅伝シーズンが始まる。出雲、全日本と関東の大学と戦える。「他校のエース級と戦っても勝てるように練習を続けていきたい」。そう取材エリアで、両手を前に合わせ、話し続けていた礼儀正しき青年は、力を込めた。