恩師がねぎらいの言葉を贈った。陸上女子100メートル、200メートルの日本記録を持つ福島千里(33=セイコー)が29日、オンラインで記者会見し、現役引退を表明した。かつて所属した北海道ハイテクAC元監督の中村宏之氏(76=現恵庭北外部コーチ)は「やるべきことはやったと思う。お疲れさまでした」といたわった。

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中村氏は、福島が帯広南商を卒業した07年から17年1月に北海道ハイテクAC退団を発表するまで約10年間、指導。女子短距離界のトップランナーに育て、08年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロと3大会連続の五輪出場をアシストした。引退については数週間前に電話で本人から連絡を受けたという。「やっぱり東京五輪で走る姿を見たかったね。とにかく何でも一生懸命で真面目。練習でも試合でも1本に全身全霊で臨む。他の選手と違い、その集中力はずばぬけていた。その分、悩むこともあるのだけれど」と振り返った。

08年北京五輪で日本女子56年ぶり100メートル出場を果たし、100、200メートルともに日本記録を塗り替えるなど、女子陸上界をもり立ててきた功労者。セイコーの「スマイルアンバサダー」となる今後について「陸上の100メートルは難しい。世界に挑んできた経験を、少しでも子どもたちに伝えていってくれたら」と期待した。【永野高輔】