陸上女子で1500メートルと5000メートルの2種目で世界選手権(7月、米オレゴン州)の代表に内定した田中希実(22=豊田自動織機)が13日、パンケーキ効果で苦難を乗り切ったことを明かした。12日に閉幕した日本選手権から一夜明け、同大会で内定を決めた一部選手が大阪市内で行われた会見に出席。4日間で3種目5レースに出走した田中は、過密日程の秘話などを語った。

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朝日をイメージした赤いウエアを身にまとうと、田中の気持ちも自然と高ぶった。会見で初披露となった、アシックス社製の日本代表公式ユニホーム。「このユニホームで走るのが楽しみ。世界陸上では自信を持って楽しみたい」。初出場の19年ドーハ大会では5000メートルで14位。2種目ともに入賞以上の結果を目指す。

2冠を達成した日本選手権では、スイーツの力も借りた。先に世界切符をつかんだ1500メートルのレース前。「朝練の感触も良くなくてイライラしていた」。状態が上向かずに不安が募った練習後、宿泊先に隣接するカフェで朝食にパンケーキを選択した。「(イライラしているときは)甘いものがいいかなと思って。食べた瞬間に頬が緩んで、その一瞬はリラックスができた。自分の気合を捻出するために一役買ってくれた」。800メートルを含めて、4日間で5レースに出走。過密日程の中で“勝負メシ”が心身をいやしてくれた。

複数種目に出場する意義も強調した。「短いスパンで走って自分に負荷をかける方が自分にとってはいい。海外の選手もそのスタイル。世界の選手にできているタフな経験をやっていく必要があると思っている」。東京五輪では1500メートルで8位入賞。さらなる高みへ、求めるのは常に世界水準だ。【佐藤礼征】