今大会3種目に出場する田中希実(豊田自動織機)は5000メートル決勝に臨み、15分19秒35の12位だった。今大会5本目のレース。800メートル、1500メートル、5000メートルに出場した異例の挑戦が終わった。

序盤はスローペースになったが、田中はいつものように飛び出すことなく集団の中で走り続けた。ペースが上がった中盤から少しずつ先頭集団から後れはじめ、終盤は10位以下へと後退したが、ラスト100メートルで1人抜いて12位でゴールした。

「(相手が)日本人選手だと前に出るかなと思うんですけど、正々堂々とラストで勝負するとか、私自身も疲労とかあったので、どういうレース展開になっても自分で引っ張っていくのは考えてなかったので、途中で食らいつけなかった部分はスタミナのなさは痛感しました」。レース後はトラックに倒れ込むほど、疲労は大きかった。

世界選手権の日本勢で、1大会で個人3種目に出場した選手はいない。前例のない挑戦となったが「今しか挑戦できないこと」と過密スケジュールに挑んだ。1500メートルは準決勝進出したが決勝進出。800メートルは予選敗退した。

コーチの父健智さんは元実業団選手で、母千洋さんは北海道マラソンを2度制したランナーという“サラブレッド”は、4月から豊田自動織機に入社し、練習施設や遠征面などで、より強固なサポートを受けることになった。5月には世界最高峰のダイヤモンドリーグに出場と、国内の枠組みに収まらない。

「ラストに出し尽くすことはできたけど、日本選手権のように出し切った感じではなくて、不完全燃焼ほどではないけど、完全燃焼できたかはまだ分からない部分があった。日本のレースだと自分の中での反省点になるけど、世界陸上は相手あっての戦術的な部分での反省の方が多くて、経験はどんどん積んでいきたいと思いました」。23年世界選手権ブダペスト大会、24年パリ五輪に向けて試金石となった今大会。経験を糧に、目標とする「世界で活躍する陸上選手」に向けてさらにステップアップする。

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