陸上100メートルでインターハイと国体の2冠を獲得した関口裕太(東京学館新潟3年)は今春、早大に進学して“再スタート”を切る。昨年は県高校記録を26年ぶりに更新する10秒37をマーク。U20オリンピック育成競技者にも選出され、2月(23~27日)にはシンガポールに遠征する。海外遠征を、早大での飛躍へのステップボードにする。

    ◇    ◇    ◇

レースのない冬季も、関口は集中を切らしていない。6日から9日には県協会の鹿児島遠征に参加。技術トレ、走り込み、砂浜トレなどみっちり体をいじめてきた。2月にはU20オリンピック育成競技者としてシンガポールにも遠征する。「オリンピックという言葉が入っていると、刺激になる。冬季も気持ちは緩まない」と早大入学まで集中力を保ち続ける。

関口の持ち味はスタートから中盤までのスムーズな加速。田村和宏監督(44)は「地面からの反発を推進力に変えるのがうまい」と愛弟子の強みを明かしながら改善点も挙げた。「後半はフォームがバラける。勝ったレースでも後半は力んでいる」。課題を残しているだけに、伸びシロはたっぷり。冬季はパワーアップの期間と捉え、春に備えてハムストリングスとインナーマッスルの腸腰筋を強化。今までやってこなかったウエートトレーニングにも取り組んでいる。

昨年5月に10秒37の県高校新記録を出して、田村監督が96年に作った10秒42を26年ぶりに塗り替えた。大学1年の23年の目標は、同監督が早大時代の97年にマークした県記録10秒25の更新。「大学3年の25年に開かれる世界選手権(東京)の日本代表になりたい」。スタートダッシュが真骨頂の関口だが、地道に段階を踏んでいく。狙っている五輪出場も24年パリの次、28年ロス五輪だ。

昨年はインターハイと国体の100メートルで2冠獲得し、高校世代のトップに躍り出た。故障に苦しみ、克服してつかんだ栄冠だった。高校2年時は両膝を痛め、インターハイ県予選の棄権を強いられていた。そんな関口が自分に言い聞かせる言葉は「七転八起」。早大でも、起こり得る困難をはね返して、日本のトップに上り詰めるつもりだ。【涌井幹雄】

◆関口裕太(せきぐち・ゆうた)2004年(平16)11月4日生まれ、新潟市出身。陸上を始めたのは木崎中1年から。中学時代の自己ベストは北信越大会の優勝タイムの11秒00。県高校記録の10秒37は、優勝した北信越高校総体(6月・石川)の決勝でもマーク。171センチ、70キロ。血液型B。