東京マラソンは5日、東京都庁前から東京駅前のコースで行われる。21年東京オリンピック(五輪)代表では男子の大迫傑(31=ナイキ)と女子の一山麻緒(25=資生堂)らが出場。6位の東京五輪限りで1度現役を退いた大迫は、昨年11月のニューヨークシティーに続くマラソン復帰第2戦となる。3日、都内で開かれた会見に登壇し「ワクワクドキドキがあって楽しみ」と声を弾ませた。24年パリ五輪代表選考会のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権も懸かる。

どれだけ前へ進んでも、声援は聞こえなかった。アスファルトを踏み鳴らす足音が響く。無観客で開催された東京五輪。札幌でのレースから574日。約1年7カ月ぶりに国内のマラソンへ挑む大迫の声は明るかった。沿道での応援にこれまでのような制限はない。「日本の皆さんが応援してくれる場で、自分の力を見せられるのは、海外のマラソンと違うワクワクやドキドキがある」。2日後のレースへ、心を躍らせた。

プロとして競技に戻ることを決めたのは、競技者としての高揚感を味わいたいという理由もあった。「もう1回、こういう場でドキドキワクワクしたい」。昨年2月に復帰を表明すると、その思いを走りで届け続けた。同11月のニューヨークシティーマラソンは、フルマラソン復帰レースながら2時間11分31秒で5位。元日の全日本実業団対抗駅伝では、GMOインターネットグループに参画し3区区間2位の走りで、11人抜きを達成した。“ワクワク”を届けてきた。

そして迎える東京マラソン。1月からはケニアで「非常に順調なトレーニング」を重ねてきた。20年に当時の日本新記録を打ち立てた大会で、MGCの出場権獲得も懸かる。起伏の少ないコースで、好タイムへの期待が高まるが、気象条件などの影響を受けやすいタイムには意識がない。「自分がコントロールできない要素を追いかけるより、自分自身の体と対話しながら走りたい」。まずは、興奮を届けるため-。いつもと変わらぬ心持ちで、大迫はファンの応援を背に、東京を駆ける。【藤塚大輔】

◆大迫のMGC出場権獲得には (1)2時間10分0秒以内をマークし、日本人3位以内に入る(2)2時間9分0秒以内をマークし、同4~6位以内に入る(3)2時間8分29秒以内をマークし、昨年11月のニューヨークシティーマラソンの記録との合計平均による「ワイルドカード」での出場権獲得。

◆東京マラソン トップ選手、市民が一体となって走る国内最大規模のマラソン。従来の東京国際マラソンなどを統合する形で07年に始まった。13年から世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」の1つとなり、世界6大レースとして認知されている。今年は4年ぶりに従来の定員である約3万8000人のランナーが参加する。