女子1部100メートル2連覇を目指した宮城・石巻出身の筑波大・三浦由奈(4年=柴田)が、11秒59(追い風3・3メートル)で2位。惜しくも優勝にはあと1歩届かなかった。また、男子1部1500メートルで順大・大野聖登(1年=秋田工)が3分49秒20で4位、女子1部1500メートルでは城西大・田中希歩(1年=盛岡誠桜)が4分25秒66で7位に入った。

三浦の表情は晴れなかった。前回王者として臨んだ女子1部100メートル決勝。スタートのリアクションタイムは出場8人中5番目の0秒159と出遅れ、レース序盤は後方から追いかける形に。みるみる加速して後半は挽回。それでも、トップ浮上はならず、0秒18差で優勝を逃した。「こういうところで勝ちきれない自分が本当にダサいなと思います」。同種目で20年、昨年に続く3度目の頂点に挑んだが、有終の美を飾れなかった。

20年春の筑波大進学直後はどん底だった。コロナ禍であらゆる活動が制限された。入学から約2カ月は大学のある茨城に行くことさえできず、地元石巻で1人黙々と練習する日々。「自粛期間に走りが分からなくなった」こともある。それでも、約10カ月ぶりのレースとなった同年8月の宮城県陸上競技選手権で100メートル優勝。さらに同10月の関東インカレで同種目を制した。そこからさまざまな大会で好成績を収め、昨年8月にマークした自己ベスト11秒55は筑波大記録だ。

有観客で声出し応援も解禁された今大会は一段と気合が入った。「すごく応援してもらえて楽しかったです」。だからこそ、その恩返しとして8チームで争う女子1部対校戦で、1位の「8点」を獲得したかった。「優勝してチームに貢献したかったが、(1位の)勝ち点を取れなくて『こんな選手なのかな』という感じです」と自分を責めた。だが、いつまでも引きずるわけにはいかない。

6月1日に開幕する日本選手権(大阪)は100メートルにエントリー。昨年は11秒65(追い風0・6メートル)で7位に入った。今年の同大会では「自分が100点だと思えるレースをしたいなと思います」。大学最終年は大きな目標を設定する。「11秒40台、30台を狙って9月にあるアジア競技大会に選ばれるような選手になりたいです」。宮城が誇るスプリンターは、さらなる高みを目指す。【山田愛斗】

○…男子1部1500メートルで昨夏の全国高校総体で800メートル、1500メートルの2冠を達成した順大ルーキー大野は4位入賞にも笑みはなかった。「勝ちきれないというか、表彰台にも上れないし、悔しい気持ちでいっぱいです」。集団の真ん中付近をキープしながら残り400メートルで勝負。しかし、前日11日の同種目予選で思っていたよりも足を使ってしまったといい、トップを捉えられず。「後半は呼吸よりも足が持たなくなってしまった。調子はそこそこ良かったので、それでこの結果は満足いっていないです」と振り返った。

○…女子1部1500メートルで城西大ルーキー田中は7位となり涙を流した。初出場の関東インカレで4月の日本学生個人選手権に続き、入賞したが納得していない。「狙っていた順位が3番以内だったので、悔しいです」。第2集団でレースを進め、自身が引っ張る場面もあったが、最後の直線で失速。「ラストの切り替えを誰よりも磨き、競り勝てる力をつけたいです」と今後を見据えた。