女子3000メートルで仙台育英勢がワンツースリーフィニッシュを決めた。次期エース候補の磯陽向(ひなた、1年)が自己ベストの9分27秒71で優勝。細川あおい(2年)が0秒07差の9分27秒78で2位、橘山(きつやま)莉乃(3年)が9分37秒83の3位に入った。800メートル、1500メートルに続いて表彰台を独占。3人は今夏の全国高校総体(インターハイ)出場権がかかる東北高校陸上(6月15~18日、山形)に出場する。

1年生・磯が3000メートルで抜きつ抜かれつの大激戦を制した。残り1周(400メートル)へ入る直前に2番手からトップに浮上も、エース格の2年生・細川が最終コーナーで前に出て首位交代。それでも、諦めない。驚異のラストスパートを見せ、残り30メートル付近で並ぶ。両者譲らずにゴールへ一直線。わずか0秒07差で磯に軍配が上がった。「絶対に弱気なレースをしたくなかった。最後まで粘り強く走れた」。自己ベストを約4秒更新する9分27秒71で頂点に立った。

アクシデントを乗り越えた。磯はレース4日前ぐらいに左足を痛め、「体の調子が上がらずに不安を抱えていた」という。万全ではない状態でもレース中はマイナスな気持ちを封印。全国総体決勝で走る目標を果たすために、攻めの走りで邪念を振り払った。

速さを追い求めて仙台育英に入学した。栃木・那須塩原市出身で「本当は地元の高校に『絶対に残る』と決めていたが、練習を見学したときに先輩たちのかっこいい姿を見て、私もここで強くなりたい」と決意。初出場の県高校総体で2位細川、3位橘山と表彰台を独占した。「本当に憧れの先輩たちと一緒でうれしい」と笑みを浮かべた。

3学年で切磋琢磨(せっさたくま)できる環境こそ仙台育英の強さの秘けつだ。細川は「(磯が)速すぎます」と笑いつつ、「去年の取り組みのままでは速い後輩たちに抜かされる。1年生に刺激をもらいながらいい練習ができている」と話す。「1番になれず、3年生の走りができなかった悔しさはあるが、育英として全員で頑張ってきたので、3位以内を独占できたのは良かった」と橘山。東北、全国と舞台を変えても、仙台育英勢は上位を譲らない。【山田愛斗】