昨年7月の陸上の世界選手権(米オレゴン州)男子100メートルで、日本人初の決勝進出を遂げたサニブラウン・ハキーム(24)が31日、新たに東レとグローバルパートナーシップ契約を締結したと発表した。契約期間は今年4月から4年間。それに伴い、所属先はタンブルウィードTCから、同社へ変更される。

白いTシャツにジャケット姿で登場し、さわやかな笑みを浮かべながら「日本から世界へという思いと、東レさんは本当に世界一を目指している企業で、そこが自分の根本として合っていた」と締結に至った理由を語った。

ともに登壇した日覺昭廣社長に「世界記録を樹立して」とエールを送られると、「自分自身、高校時代から目標が世界記録樹立で、そこは揺るがない目標だったので、近い未来で達成できればなと思います」と回答。09年にウサイン・ボルト(ジャマイカ)が樹立した9秒58超えへ意欲を示した。

日本歴代2位の9秒97の自己ベストを持つサニブラウンは、昨夏の世界選手権で7位入賞を果たした。今季は4月下旬に米国で2レースに出場。ともに追い風参考記録ながら、初戦は10秒13(追い風2・3メートル)、2戦目は10秒16(追い風2・9メートル)をマークしている。

6月1日開幕の日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)では100メートルに参戦(3日に予選、4日に準決勝、決勝)。東レの青色のユニホームを着て臨む初のレースとなる。

「アメリカの大学に行って、プロ契約をして、新しいことにチャレンジしてきた中、今回は東レさんと一緒にやっていこうということになった。初の日本選手権なので、しっかりいい姿をお見せしたい」

まだ8月の世界選手権(ブダペスト)の参加標準記録(10秒00)を満たしていないが、昨夏の世界選手権で8位以内かつ日本人最上位につけたことにより、今回の日本選手権で10秒00を突破した時点で5度目の世界選手権代表に内定する。

「この大会での具体的なターゲットはないですが、仕上げていく過程で勝手に(タイムも)出ていくかなという感じですね」

リラックスした表情で自信をみなぎらせた。優勝した昨年6月の同選手権以来、1年ぶりの国内レースで、その実力を発揮する。【藤塚大輔】

◆昨年大会のサニブラウン 大会第1日の6月9日は1日2本。予選は10秒11(無風)で全体トップ。約3時間半後の準決勝も10秒04(追い風0・8メートル)で再びトップ通過。世界選手権参加標準記録10秒05もクリアした。翌10日の決勝は午後8時30分スタート。10秒08(追い風1・1メートル)で3年ぶり3度目V。4大会連続の世界選手権切符を手にしたが「もうちょい、いけた」と悔しさを口にした。