5月31日、8月の世界選手権(ブダペスト)代表選考を兼ねた日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)の前日会見が行われ、陸上男子100メートルに出場するサニブラウン・ハキーム(24=東レ)が出席。2日間で行われる同種目は世界選手権と同じ第1日に予選1本、第2日に準決勝、決勝の計2本と内訳が変更となった。元日本記録保持者の伊東浩司氏(53)が男子100メートルの展望を語った。

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男子100メートルは、2日間にわたる日程の内訳が変更された。昨年までは予選、準決勝の1日2本→翌日夜決勝1本だった。今大会は、予選1本→翌日準決勝、決勝の1日2本。15年以来8年ぶりの形となった。

伊東氏 とてもいいこと。準決勝を終えて集中力が高まり、ほどよい筋肉の疲労の中で決勝を迎えられる。また同日開催で天候の変化も少ない。日本の6月は雨が多い。準決勝は晴れ、決勝は雨など天候が変わるとよくない。選手にはいろいろ心の揺れがある。翌朝起きた時の疲労や、決勝まで時間が空くことで考えすぎることもある。丸1日空いての決勝は生活リズムも難しい。

伊東氏は98年バンコクアジア大会の準決勝で当時、日本新の10秒00を記録。そして翌日に決勝を迎えた。

伊東氏 準決勝は(報道陣が)ほぼ誰もいなかったが、1日たったらゴールの後ろに50人ぐらい(笑い)。みんなあわてて『9秒台、出るぞー』と(決勝は10秒05で優勝)。今回は、純粋に準決勝の動きを確認してすぐに決勝にいける。

準決勝、決勝の同日開催は世界大会と同じだ。昨年の世界選手権オレゴン大会でサニブラウンは準決勝→決勝の短いインターバルを経験し「いかにリカバリーしつつウオームアップして決勝の準備をするか。肌で実感できたところの収穫が大きい」と言った。世界大会に日程を合わせることは先を見据える意味でも大きい。

伊東氏 リズムを作る上でいいことだと思います。決勝に残って勝負したいという選手が増えればいい。 勝負はサニブラウンが軸。スタート抜群の坂井が続き、実力者小池、伸び盛りの19歳柳田が絡む流れだ。

伊東氏 スタートは坂井が先行するだろう。ただサニブラウンが最初に坂井と同じぐらいでドンと出たら、一気にいって9秒台という可能性も高くなる。【取材・構成=益田一弘】