19歳の栁田大輝(東洋大)が、10秒13(向かい風0・2メートル)の自己ベストで2位に入った。

スタートから飛び出すとゴール直前まで、初優勝した坂井隆一郎(25=大阪ガス)とトップを競り合った。9秒97の自己ベストを持つ連覇を目指したサニブラウン・ハキーム(24=東レ)、9秒98の自己記録を持つ東京五輪代表の小池祐貴(28=住友電工)に先頭を譲ることはなかった。0秒02差で初優勝は逃したが、レース後は坂井と抱き合って健闘をたたえ合った。

3時間40分前の準決勝は10秒19(無風)で1組1着で決勝進出を決めた。3日の予選でも後続を寄せ付けない余裕の快走で、10秒19(追い風0・2メートル)で2組1位通過していた。

今季は春から結果を残してきた。4月の織田記念では10秒25で優勝。連覇を達成した5月12日の関東インカレは、追い風3・1メートルの参考記録ながら10秒09を記録した。同21日のセイコーゴールデンGPでは予選で10秒13の自己ベストをマーク。その記録を日本選手権の決勝の舞台でさらに更新してみせた。

昨年7月の世界選手権(米オレゴン州)では男子400メートルリレーに出場。アンカーとして日本の3大会連続メダルを目指したが、予選で第2走者の鈴木涼太と第3走者の上山紘輝のバトンパス違反で失格。「もっと力をつけて戻ってきたい」と奮起を誓い、冬季にウエートトレーニングで、世界で戦える筋力の強化に取り組んだ。

昨年の日本選手権は3位。順位を1つ上げて、この1年間の着実な成長を証明してみせた。