今月19日開幕の世界選手権(19~27日、ブダペスト)の代表入りが確実の柳田大輝(20=東洋大)が、10秒20(向かい風0・4メートル)をマークした。午後の決勝は欠場した。

日本史上最年少での9秒台を狙ったが、直前に雨が降り始めた影響もあり、タイムが伸びなかった。後半は流し気味にフィニッシュ。「運がないですね」と一笑し「世界陸上に向けて、もう1回切り替えていきたい」と世界舞台へ視線を向けた。

柳田は昨夏の世界選手権(米オレゴン州)400メートルリレー代表。今季は上半身の筋力強化を図り、6月の日本選手権では坂井隆一郎(大阪ガス)に続く2位に入った。スタートの飛び出しやフォームがかみ合うようになり「“こんな感じなんだな”と走り方がつかめた」と好感触を得た。

7月中旬のアジア選手権では、男子100メートルで日本歴代7位タイとなる10秒02(無風)をマーク。「良いコンディション、天気で走れたら、9秒台はいかなくても、(10秒)0台は出せる手応え」を手にした。世界選手権の目標は予選、準決勝を突破し、決勝へ進出すること。来夏に迫るパリオリンピック(五輪)を見据え「今年一番の大事な試合」に臨む。

「ブダペストで戦えなかったら、来年は戦えないと思う。自分の力を出し切って、ファイナルにも残れるような記録を出して、世界陸上で100メートルを3本走ることが最大の目標なので、そこはブラさずに2週間ほどやっていければ」

7月25日には、ダイヤモンドリーグ(DL)英・ロンドン大会からの帰国便内で20歳の誕生日を迎えた。「もうちょっとおとなになりたいと思います。うるさいとよく言われるので、静かにやりたい。気持ちは10代です」。さわやかに笑うスプリンターが、日本の短距離界に新風を吹かせる。【藤塚大輔】