サニブラウン・ハキーム(24=東レ)が準決勝進出を決めた。シーズンベストの10秒07で6組1位だった。

日本人で初めて決勝の舞台に立った昨夏に続き、2大会連続のファイナル進出へ好スタートを切った。スタートから飛び出し、勢いに乗った走りでライバルたちを後ろに追いやったままゴールした。

「結構、気持ち良く走れたかな」と笑顔。「明日が本番なので、今日はいい刺激を入れられた。いいペースで走れ、後半もその勢いのままゴールできた」と手応えをつかんだ様子だった。

今季は春先から本来の実力を発揮できないレースが続いた。6月上旬の日本選手権決勝では左足をつり、10秒59(向かい風0・2メートル)で最下位。その後も調子が上がらず、世界ランキングでの代表入りも危ぶまれたが「日本選手権あたりから10秒0くらいで走れるコンディションではあった」と諦めずにレースへ出続けた。

7月20日のスイスの大会では今季初の10秒0台となる10秒09(追い風0・3メートル)をマーク。何とか5大会連続の世界切符をつかんだ。

今月17日に「順調な練習を積んでこれた。楽しみな気持ちが大きい」と高揚感を漂わせていた通り、レース後は笑顔が際立った。「ようやくちゃんと戻ってこれたかな」と白い歯を見せながらほほ笑んだ。

準決勝は日本時間20日午後11時30分から行われる。日本勢初の2大会連続の決勝進出へ「もうちょっとしっかり集中していく。40~60(メートル)が一番キーになってくると思うので、そこで気を抜かず、もう1度ギアを上げていけば前でフィニッシュできると思う」と自信十分。「走っていて気持ち良いですよ」。さわやかな笑みを浮かべ、準決勝を見据えていた。

◆サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日、福岡県生まれ。ガーナ人の父と日本人の母を持ち、小3で陸上を始める。15年7月世界ユース選手権100メートル、200メートル2冠。同年世界選手権北京大会は200メートルに同種目世界最年少16歳で出場し準決勝進出。東京・城西高卒業後、オランダを拠点に練習し17年秋フロリダ大進学、拠点を米国に。23年4月から東レ所属。