日本記録保持者の泉谷駿介(23=住友電工)が、男子110メートルハードル(障害)で決勝に進出して13秒19で5位入賞を果たした。この種目での決勝進出と入賞はオリンピック(五輪)も含めて日本勢初の快挙だった。

21年東京五輪では泉谷と金井大旺が日本勢57年ぶりの準決勝進出を果たすなど、日本勢の躍進は著しい。そもそもこの種目の距離はなぜ100メートルではなく110メートルに設定されているのだろうか。

陸上のトラック短距離・障害種目は100メートル、200メートル、400メートルと、距離がきっちり100メートル単位で区切られている。ところが男子110メートルハードル(障害)だけは、100メートルより10メートル長い110メートルに設定されている。女子の距離は100メートルなので、男子だけが『特別』なのだ。

なぜか。それはこの種目の古い歴史にある。

ハードル(障害)競技は1837年に英イートン大で行われたのが起源とされている。

選手のタイム記録が残っているのは、1864年の英オックスフォード大とケンブリッジ大の対抗戦で、この時の距離が120ヤード(約109・7メートル)だった。当時はメートル法ではなく、ヤード法で距離が計測されていた。この時の距離をもとにして現在の110メートルになった。ちなみにハードルの高さ106・68センチも当時から変わっていないといわれている。

現在、ハードルは10台。1台目までが13・72メートル(15ヤード)で、9区間はそれぞれ9・14メートル(10ヤード)と、中途半端な数字で設定されているのも、ヤード法をそのまま用いているから。

1896年のアテネ・オリンピック(五輪)ではハードル8台で100メートルで実施されたが、1900年パリ・オリンピック(五輪)から現在のハードル10台の110メートルで正式種目として実施されるようになった。

ちなみに女子は1932年のロサンゼルス・オリンピック(五輪)で80メートルハードル(障害)として採用され、1964年東京オリンピック(五輪)では依田郁子が5位に入賞している。その後、1972年のミュンヘン・オリンピック(五輪)から距離が20メートル延びて現在の100メートルハードル(障害)になった。