田中希実(23=ニューバランス)が女子5000メートルで14分37秒98の日本新記録を樹立した。

21年東京オリンピック(五輪)で廣中璃梨佳(22=日本郵政グループ)がマークした従来の日本記録(14分52秒84)を約15秒も更新。6位に入り、3大会連続の決勝進出を決めた。

レース後はほおを紅潮させながら、興奮気味に試合を振り返った。

主な一問一答は以下の通り。

 ◇   ◇   ◇

-シファン・ハッサン選手が前へ出る展開となりましたが、レースを振り返っていかがですか。

田中 思いがけないペースメーカーだったんですけど、前の組のラトビアの選手(アガテ)が(序盤で前へ)行っていたので、そこへの意識というか、1人でも迷いなく行くというのも1つのプランだなって新しい発見があってからスタートラインに立って。でも、誰も飛び出さなかったらどうしよう、スローになったらどうしようという不安があったんですけど、そこでハッサン選手が行ってくれて。ハッサン選手も1500(メートル)を終えた後なので、そこまで急激なことはしないんじゃないかなという見立てがあったので。そういうことがあった上でのタイムなので、世界で戦えるかというレース展開での強さではないかなと思うんですけど。でもタイムとしての実力は、今の100点満点を出すことができた。自分でも見ることができたのがすごく良かったです。

-日本新記録を大きく上回るペースについていくことに怖さはなかったですか。

田中 14分30秒台というのは、初めて世界陸上(19年ドーハ大会)に出て、15分切るか切らないかというところにきた時に、来年こそは14分台であったり、(14分)40秒台にはすぐに行くんじゃないかなって思ってて。それがなかなか切れなかったところで、年々、理想値ばかりが上がっていて。去年、おととしくらいから、ずっと理想としては(14分)30秒台はあった中、実際とはかけ離れていたところで、やっとマッチした感じです。

-タイムと決勝へ進めたことの受け止めはいかがですか。

田中 決勝に残れたことのほうがうれしくて。走りながらも、このままラスト1000メートルで失速して、3分10秒かかっても日本記録だなとは思ってはいたんですけど、でもそうなると、着が取れない。そういう日本記録はうれしくないなと思いながら、ラストも通過していたので。そこは最後まで意地でも、今より順位を落とさないことを意識して、それでも順位を落としてしまったので、そこはまだまだなんですけど。でもそこまで失速せず、食らいつけたので良かったです。

-今春には1年前の世界選手権を「パフォーマンスになっていた」と振り返っていました。その上でのこの結果をどう受け止めていますか。

田中 そうですね。去年は予選が苦しい通過になったので、自分の理想とかけ離れていたところが、やっと自分の予想通りの通過が出来たので。今後、ダイヤモンドリーグだったり、世界を転戦するための大きな1歩になったかと思います。

-決勝はどんなレースがしたいですか。

田中 決勝は3連続になるんですけど、入賞できたことがない。入賞を狙っていきたいですし、今日とは違った展開になる可能性が高いので、だからこそ今度はどこまで勝負できるか、勝負になったら8位になれないという予選の怖さではなくて、勝負になって負けてもいいという気楽さがあるので、そこはチャレンジという気持ちを持ってスタートラインに立ちたいです。